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2022年以降、コロナ禍再燃の影響を受け、中国消費市場は弱含みで推移しています。2022年12月、中国政府は新型コロナウイルス感染対策を全面的に緩和しました。しかし、中国各地で感染拡大が続いており、消費者が外出を控えたり、感染が一巡すると外出が急増したりと、消費市場に対する見通しが難しい状況が続いています。
消費市場の低迷は、消費者の所得減少と将来に対する不安が主因となっています。アンケート調査によると、回答者の約6割が「収入が減った」と回答、また一級都市の回答者の7割が「過去6か月間に収入が減った」と回答しました。加えて、コロナ禍再燃により、消費者の将来に対する不安も募っています。消費者信頼指数は2022年4月に86.7まで落ち込み(前年比-28.6%)、その後10月まで90を下回りつづけました。
消費選択の傾向としては、単純に倹約志向が強化されたというよりは、より理性的になっていると言えます。消費者は旅行、オフライン娯楽、ラグジュアリー、美容・美容医療など非必需品に対する支出を大幅に減らし、コロナ予防用製品、米・小麦粉・油、牛乳・生鮮食品など生活必需品の支出に対する比率を増やしています。また、コロナ禍前に比べ、明確な消費ニーズがある場合、消費者はさまざまなチャネルを使って商品情報を収集し、価格を十分に比較した上で購入する傾向が強くなりました。
消費チャネルとしては、外出制限に伴いオンラインチャネルによる買い物が増えています。消費者はチャネルを特性によって使い分けており、ECチャネルのトラフィックはアリババやJDを中心とした伝統的なECプラットフォームから、Douyin、Kuaishou、Pinduoduoなどの新興ECプラットフォームに分散しています。中でも、DouyinやKuaishouに代表されるライブストリーミングECはシェアを急拡大しました。
ECプラットフォームのトラフィック分散トレンド
ECのトラフィックがJD、TMALLからDouyin、Kuaishou、PDDに分散しています。
3年に及ぶ新型コロナウイルス流行を受けて、中国消費者の生活様式や消費方式は大きく変化してきました。企業が中国でウィズ・アフターコロナ時代を生き抜くためには、消費市場のトレンドを常に正確に把握し、経営戦略を調整することが重要です。当ホワイトペーパーでは、ウィズ・アフターコロナ時代における中国消費市場のトレンドと方向性を分析し、経営戦略を調整する際のポイントについて解説しています。
Author
荒井 直樹
グレーター・チャイナ地域統括として、上海・香港・台湾オフィスの経営を管掌。主に中国におけるサービス・小売・EC事業におけるマネジメントサービス事業に従事。