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中国では、経済発展に伴い、一人当たりの消費可能所得が過去10年間で倍増しました。より高級な製品にお金を払う消費者が増え、従来の基本的なニーズを満たすための消費から、楽しみを中心とした消費へと消費向上期を迎えています。また、消費者ニーズも、化粧品からヘアケアやボディケアなど総合的な美への憧れへと変化してきました。
ポストコロナ時代を迎え、マスクが生活必需品となったことも、消費者の美への追求を顔の美しさから髪の美しさへと徐々に変化させています。中国のヘアケア市場は、シャンプー、コンディショナー・ヘアマスク、ヘアカラー、スタイリング剤の4つのセグメントに分類されます。日用品であるシャンプーとコンディショナー・ヘアマスクがヘアケア製品売上高の多くを占めていますが、髪に対する美しさの追求が高まったことに伴い、ヘアカラー市場が急速に拡大しています。
中国ヘアケア市場の規模
中国のヘアケア市場は規模、プレミアム化ともに拡大し、2021~2025年までのCAGRは5%、市場規模全体は700億人民元に達すると予想されます。販売チャネルでは、オンラインがヘアケア製品の主要チャネルとなっており、2020年には市場の70%の売上シェアを占めました。中国最大のeコマース小売プラットフォームであるタオバオ(淘宝)とTモール(天猫)でも、ヘアカラーカテゴリーの検索キーワード上位に染毛料製品関連のワードが見られました。市場拡大の背景には、カラフルな髪で個性を発揮したいと考える若い世代と、黒髪で若々しさを演出したいと考える高齢者層のニーズがあります。
中国のヘアケア市場では、多くの現地の新規ブランドが活躍していますが、海外ブランドのほうが強いプレゼンスを持っています。たとえば、タオバオとTモールの販売データによると、ある日本の大手ブランドは、過去1年間の総売上高が1億5千万人民元に達しました。
当ホワイトペーパーでは、中国のヘアケア市場におけるヘアカラー分野の現状について解説しています。中国のヘアカラー市場は、有力な現地ブランドが存在せず、市場の集中度も低いため、海外ブランドの中国市場参入の機会となっています。中でも特に、製品の安全性と発色効果の高さで、染毛料市場を急速に席巻している日本ブランドのプレゼンスに焦点を当てました。
Author
太田 裕一
中国・上海を拠点とするパートナー。日本企業ならびに中国企業を中心に、経営コンサルティング支援とM&A領域支援を提供してきた実績を有する。経営コンサルティング領域では、事業戦略策定、市場参入戦略策定、市場競合調査、プロセス改善、組織最適化などの多様な支援を実施。