1996年、マレーシア政府は、情報と知識の時代に向けて、マルチメディア・スーパー・コリドー構想を開始しました。同国はそれ以来、デジタルに強い国家になることに重点的に取り組んでいます。Huawei社の世界接続性指標報告書2019年度版では、マレーシアの指数が東南アジア第2位となり、2018年のインターネット普及率は83%、デジタル決済率は63%という高い数値を誇っています。
しかし、国民がデジタル化を熱狂的に受け入れている一方で、マレーシアのビジネス・経済分野はそれほど積極的ではありません。2017年のマレーシア統計局の調査によると、同国の各産業の中で、インターネットを利用しているのは73%に過ぎず、最も割合の高い製造業で90%、最も低い農業では61%に留まっています。技術の進歩によって知識集約型の社会になることは国の長年の課題であり、この目標を達成するためには、より多くの企業がデジタル化を目指す必要があります。
クイック&スモールスタート
マレーシアでは、6割の企業がまだデジタル化の基礎段階にあります。91%の企業が、デジタル化によって企業の収益が向上し、営業コストが削減されるということを認識しているにもかかわらず、デジタル戦略を立てている企業は55%に過ぎません。企業はデジタル成長を達成するための障壁として、デジタルコンピテンシーの欠如と非効率的な導入・オペレーション管理を挙げています。
しかし、新型コロナウイルスの流行によって世界中で多くの産業がデジタル主導への移行を余儀なくされている中で、マレーシアの企業も長期的なデジタル戦略を立てることの重要性を認識しはじめています。例えば、製造業ではデジタルソリューションを活用して生産コストを下げることができますし、B2Cビジネスでは顧客への浸透率を高めることができます。
YCP Solidianceはホワイトペーパー「デジタルトランスフォーメーションの加速。マレーシアの企業はデジタル化に対応しているか」の中で、デジタルトランスフォーメーションを段階的に進めようとする企業のために、4つの重要な戦略を挙げています。
- まずはじめに、以下の変革の3つの柱の中で、デジタルトランスフォーメーションの最優先事項である重要分野を1つ特定します。
o 第1の柱: プロセスやオペレーションの強化
o 第2の柱: 営業、CRM、サプライチェーン
o 第3の柱: eコマースやモバイルアプリなど外部のステークホルダー向けのツール
- 次に、目的や希望する結果の設定に伴い、必要なリソースを策定します。このリソースとしては、デジタルインフラ、人材、ソフトウェアやハードウェアのアップグレードにかかるコストなどが考えられます。
- さらに、既存のワークフローを評価し、デジタルソリューションの導入による潜在的なビジネスインパクトを分析します。既存のギャップを解消し、関係するすべてのステークホルダーにとって円滑なプロセスを実現するために、デジタルパートナーが必要となる場合があります。
- 最後に、展開が容易なデジタルツールや施策を導入し、企業の活動やオペレーションを主要な部門ごとに変革します。デジタル化が進むにつれて、他のビジネス分野へも実施可能な段階で展開していくことができます。
デジタル化されたマレーシアの未来にむけて
マレーシアが知識集約型国家を目指していることや、新型コロナウイルスによって世界が「ニューノーマル」にシフトしていることから、今やデジタルは分野を問わずあらゆるビジネスに不可欠な要素となっています。デジタル化の促進は事業の継続と発展のための最適解であり、企業が特定の目的やニーズをさらに推し進めるための長期的な投資として受け入れられるべきものです。
デジタル化がマレーシアの様々な経済分野に与えている影響についての詳細は、こちらからダウンロードできます。