eスポーツ産業全体の成功には、アジアが欠かせない存在になっています。調査会社のNiko Partners社のデータによると、アジアが世界のeスポーツ市場の54%以上を占めています。2020年だけでも、アジアは総収入5億4,380万米ドルを得ており、2021年の初期成長率予測では前年比10.5%増とされていることから、この増加傾向は今後も続くと予測されています。

 特に東南アジア地域は、eスポーツの人気が高いため、今後数年間で大きく成長することが期待されています。

高まる東南アジア市場

Newzoo社とTencent社のレポートによると、ASEANにおけるeスポーツ産業の収益は、2021年末までに3,920万米ドルになると予測されています。さらに重要なことに、東南アジア全体のeスポーツ産業の収益は、今後数年間でさらに増加する可能性があるということです。この地域におけるeスポーツ産業の年平均成長率(CAGR)は20.8%であり、世界のCAGR11.1%を上回る数字となっています。

 このように、eスポーツ産業の収益は、急速かつ長期的に成長する傾向にあるため、東南アジアの経済に大きな影響を与えることが期待されています。また、各国政府、eスポーツ団体、視聴者などより多くの個人や団体が、東南アジアのeスポーツ分野に投資すれば、収益はさらに増加すると考えられます。

 一方、現状では、東南アジアのeスポーツ産業を発展させているドライバーについては明確にはなっていません。 幾つかの要因が考えられますが、最も大きな成長要因はモバイルゲームだと思われます。

推進力としてのモバイルゲーム

当社YCP Soldianceのホワイトペーパー「The Next Level:フィリピンにおけるeスポーツの活況」によると、フィリピンで最も人気のあるモバイルゲームは、2019年4月時点で1日あたり265万人のアクティブユーザーを記録しています。また、2018年11月から2019年4月までの間で、1 日あたりのアクティブユーザー数のCAGRは8.78%を記録しました。Scoop Businessによると、2020年時点での東南アジアにおけるモバイルゲーム利用者数は合計9億4850万人とされており、2021年には10億人に達すると予想されています。

 また、消費者洞察データによると、東南アジアのインターネット利用者の82%が、フィリピンで最も人気のあるモバイルゲームeスポーツである「Mobile Legends」をプレイしています。eスポーツは様々なモードやプラットフォームで行えますが、モバイルゲームが東南アジアで特に人気であることは驚くことではありません。

 モバイルゲームが幅広い層のゲーマーに支持されている理由の一つは、その入手のしやすさにあります。モバイル端末を使えば、文字通り、指先でゲームの世界を楽しむことができます。そのためモバイルゲームは、ユーザー数の増加に伴い、eスポーツ業界とその収益に欠かせないものとなっています。

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