新型コロナウイルスの影響で世界的にデジタル化が進む中、東南アジア諸国はその技術革新の勢いをさらに加速させようとしています。
Google社の業界レポートによると、東南アジア地域における2020年のインターネット利用者数は4億人と推定されており、これは地域全体の人口の70%にも登ります。また、同レポートによると、2025年までに東南アジアのインターネット経済圏における総取引額(GMV)は現在の3倍の3,090億ドルになると予測されていますが、これは従来予測されていた3,000億ドルを上回る数値となっています。
さらなる発展の可能性
東南アジアにとって、こうしたネット利用者増や市場の拡大は発展の追い風になる一方で、様々な課題もまた存在します。中でも、東南アジアではサイバーセキュリティが大きな関心事となっています。Tech Wire Asiaのレポートによると、セキュリティ侵害にさらされた東南アジアの企業は、1件あたり271万米ドルの損失を被ることになります。
しかし、セキュリティ侵害の潜在的な脅威がありつつも、いくつかの新興企業はデジタル分野で大きな成功を収めているケースもあります。東南アジアでは、電子商取引サイトのShopeeやLazada、輸送サービスのGrabやGoToなどがその例です。これらの企業やサービスの成長は、地域の技術開発を促進し、後発企業が恩恵を受けることにもつながります。そのビジネスモデルが他の企業に影響を与えるだけでなく、その成功によって得られた投資家の信頼が、東南アジアへのさらなるビジネスの流入を促すことにつながります。
安全な未来へ
東南アジアでは、社会もビジネスも同様にデジタルによる変革を提唱しており、10 カ国で構成される経済連合体である ASEAN(Association of Southeast Asian Nations)がその先頭に立っています。AS
EAN各国の政府が技術革新の促進に大きく関与していることは、関係する全ての国にとってポジティブな兆候です。
また、ASEAN加盟国は、この地域のデジタル改革に関する具体的な問題、特にサイバーセキュリティに精力的に取り組んでいます。The Straits Timesによると、シンガポールは、「ASEAN-シンガポールサイバーセキュリティ運用センター(ASCCE)」と題した3,000万米ドルにのぼる5年間の共同プロジェクトを2019年に開始しました。
同様に、アジア財団とASEAN零細中小企業調整委員会(ACCMSME)は、 地方の中小企業がデジタルの世界で成功するために必要なスキルやツールを身につけることを目的として、2020年に「Go Digital ASEAN」という取り組みを開始しました。
推進者の努力により、現在の東南アジア全域におけるデジタルトレンドの大半は、この地域が望むデジタル成長と変革に向けて前向きな結果を示しています。これまでの結果を踏まえると、ビジネスとテクノロジーの発展のハブになるというこの地域の目標は、有意義であると言えます。