軍事政権の支配下で閉鎖的な経済政策がとられていた数十年を経て、ミャンマーは今、その歴史に新たな章を刻もうとしています。2011年3月に半民主的な政権が樹立されて以来、ミャンマー経済は、新政府が行った多くの進歩的な政治経済改革を通じて、国際貿易に開放され始めています。現在では、東南アジア地域の最後の経済フロンティアとして、外国企業が関心を寄せています。

ミャンマーの経済発展は、アウン・サン・スー・チー氏率いる国民民主連盟が2016年3月に新しい民主政権を樹立したことで、さらに改善を見せました。これは、世界中の企業に対して、ミャンマーの経済環境の肯定的な見通しを強化する動きでした。それ以来、ミャンマーの貿易額とFDIは増加をみせています。また、インフラ整備や移住増加により、ヤンゴンやマンダレーなど、ミャンマーの主要都市における都市化が進み、雇用機会が増加しました。

ミャンマーの消費者市場に対する経済改革の影響

ミャンマーの人口は増加しており、人口の36%が10~29歳で、それに続いて30~49歳が27%を占めています。これらの年齢層は、ミャンマー市場に存在する企業が、注力すべき魅力的な未開拓の消費者であるといえます。これらの若年層は増加し続けている労働力であると同時に、雇用機会の増加に伴い購買力を向上させています。

経済特区や工業団地の開発に代表されるミャンマーの経済改革も、同国の消費者市場を変えつつあります。人口の43.7%が、新たに設立された経済特区や工業団地での雇用を求めているため、大規模な人口移動がみられています。ミャンマーの消費者市場は、地理的にこれらの地域に集中するとみられます。

38~52歳の年齢層に属するミャンマー人は、状況の変化と急速に発展する経済を受け入れる必要があります。この層は、政府の急速な経済改革に加えて多額の外国投資の最大の受益者となります。その高い購買力は、今後数年間で、ミャンマー経済の大部分を牽引するものと考えられます。

購買力の高まりが消費者主義の台頭をもたらす

現在のミャンマーでは、農業部門で収入を得ている人口が過半数、約60%を占めている状況です。人口の一部である約24%が、月額120米ドル以上の収入を得ています。しかし、現在の大規模な経済および製造業の成長を通じて、2022年までにこの割合は48%に増加すると予測されています。

特に都市部における購買力が向上したことで、大都市だけでなく、モーラミャイン、タウンジー、パテインなどの小さな都市においても、近代的小売(モダントレード)の店舗や小売業者が台頭しています。 この近代的な店舗の増加によって、ミャンマーの消費者は現在、意思決定や購買プロセスのゆっくりとした変革を経験しています。

消費者主義の次の段階としての、ミャンマーのデジタル経済

ミャンマーにおける消費者主義の高まりの効果は、同国のデジタル・コマース環境からも感じ取ることができます。同国が通信業界に乗り出してから10年足らずで、スマートフォンの普及率は現在78%に達しています。ミャンマーにおける接続性とモバイルインフラの改善と並行して、eコマース業界も成長を続けています。

スマートフォンは、他の電子機器の重要性をはるかに上回る存在であり、ミャンマーのデジタル経済を前進させるうえで重要な役割を果たすとみられています。現在初期段階にあるミャンマーのeコマース業界では、トラフィックの85%がスマートフォン経由となっています。スマートフォンの様々なブランドの製品の多くが、魅力的な価格で提供されているため、ミャンマー市場は容易に支配されています。したがって、スマートフォンの浸透は、都市部だけでなく、農村部でもみられるものと考えられます。

ミャンマーの経済成長の主な原動力

消費者主義の台頭が、ミャンマー経済がさらに成長するための小さな一歩に過ぎないことを理解することは重要です。全てのステークホルダーは、この市場で長期的な成功と持続可能性を達成するために寄与する、重要な原動力がいくつか存在することを理解できるはずです。これらの主要な原動力としては、テクノロジーを通した中小企業のイノベーション強化、包括的な顧客教育、オンラインとオフラインの統合、消費者主義が高まるなかでの現地製造のサポートが挙げられます。

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