3億人以上の都市人口と2500億米ドルを超える建設業の市場規模を備えた東南アジアは、世界の建築・エンジニアリング・建設(AEC)業界にとって、最も魅力的なターゲット市場の1つとなっています。
地下鉄の延伸に伴い、タイの住宅部門は、バンコク郊外における急速な経済発展を目にしましたが、これはコンドミニアム市場の拡大を示す動きといえます。タイショッピングセンター協会(TSCA)は、タイを地域内のショッピング拠点とする方針を発表しました。新たなショッピングモール、ホテル、レストランの建設は、商業部門の成長を後押しするものとみられます。政府が東部経済回廊を承認したことを受けて、工業部門と都市開発部門は、タイをASEANにおける主要な経済圏かつ外国投資の重要地域とすることを目指しています。
私たちのレポート「タイランド2.0は、建設業界を復活させるか?」によると、タイの建設業界は、2014年から2015年の間に年平均成長率(CAGR)がマイナス2%とわずかに減少しましたが、将来については楽観的な見通しが持たれており、外国投資に関して、新たな挑戦と機会が示されています。
住宅総数は年間で1.4%増加しました。特に、国内で中小企業が急増したことにより、商業ビルがCAGR6.5%を示したことから、商業部門の需要の高まりが伺えます。一方、産業部門は13.1%のCAGRで成長しており、これは主に自動車工場の拡張に牽引されています。
バンコクが市場シェアの大部分を占めているものの、公共交通機関の発達、ティア2都市における市街化の増加は、長期的に建設業界の市場環境に影響を及ぼすと考えられます。
住宅部門
新たな住宅建設の件数は2012年から2014年の間は安定しており、同国のプロジェクトの30%以上を占めています。ツインハウスは2012年から2014年の間に41.7%のCAGRと、最も顕著な成長を示しています。 2番目に主要な住居形式であるタウンハウスは、同期間に5.7%のCAGRを示しました。
首都のコンドミニアム市場は、供給過多や需要の伸びが鈍化したことを背景に、マイナス2.5%のCAGRと低下しました。一方、地下鉄インフラの延伸に伴い、周辺地域の市場は2010年から2014年にかけて、24.2%のCAGRで拡大しています。
商業部門:ASEANのショッピング拠点としてのタイの地位を強化
タイの商業部門は、ショッピングモールやレストランの需要の増加に牽引されており、2012年から2014年までの期間のCAGRは6%と成長を見せています。
TSCAは、タイを地域のショッピング拠点とするための方針を発表しており、協会加盟企業は、複数の地域に新たにショッピングセンターを開業する計画を立てています。さらに、観光産業も近年成長が著しく、2012年の約2200万人から2015年に2900万人以上に観光客が増加しており、2012年から2015年の間には、年間平均で41.7%の増加率を示しました。
産業部門:新たな地域、新たな成長
タイをASEANにおけるターゲット産業の経済区域にしようとする政府の意向が、産業建設部門を牽引しています。産業建設の件数は2012年から2014年の間に、13%のCAGRで増加しました。新しいSカーブ・イニシアチブを通じて、政府は主に中国の投資家を対象としながら、経済特区(SEZ)を支援しています。
政府はさらに、パタヤからラヨーンにわたる東部経済回廊を開発し、陸路、海運、および鉄道インフラの建設に注力するインフラ開発計画についても承認しました。