インドネシアの都市は急速に発展していますが、都市化に伴い住環境の悪化が進行しています。交通問題、環境汚染、住宅の不足と価格の高騰、非効率な行政サービスなど、これら都市経営の問題は、都市空間の急速な進化に伴って複雑化しています。

この問題に対処するため、インドネシアは2017年に「100 Smart Cities」計画を開始しました。この計画は、2045年までに100のスマートシティを構築し、インドネシア人の生活全体の質を向上させることを目的としています。スマートシティの開発は、投資機会の増加や新たな雇用の創出だけでなく、観光産業や国全体の経済の活性化にも繋がります。

一方、インドネシアのスマートシティ構築には、画一的な手法を取りづらいという難しさもあります。インドネシアは文化的に異なる地域の集合体であり、地域の違いを考慮した個別のアプローチを必要としています。そのためには、政府機関、地元企業、学術機関、メディアなど、様々な関係者が協力し、テクノロジーを通じた大胆かつ理想的な改革をもたらす必要があります。

YCP Solidianceによるホワイトペーパー インドネシアは2045年までに100都市のスマートシティ化を実現できるのか-ビジネス連携によるスマートシティ化推進の取り組み- では、スマートシティを実現するための背景としてテクノロジーに注目しています。「コネクティヴ・シティ」は、市民が公共の情報や記録に容易にアクセスできるモバイルアプリの開発、強力なバイクシェアリングシステムによるスマートモビリティの推進、さらには街の信号機の制御にもテクノロジーを活用するなど、都市化に伴う独自の課題に対処するために、テクノロジーを駆使したソリューションに大きく依存しているのです。

この計画が2017年に打ち出されて以降、2つの都市がスマートシティ開発の優れたベンチマークとして、他の地域が参考とすべき青写真となっています。

「住みやすくて愛すべき都市」とは

その一つであるバンドン市は、2013年にはすでにスマートシティの取り組みを開始し、現在実施されている国家プログラムの基礎を築きました。同市はペンタヘリックスモデルとして、5つの主要なステークホルダー(政府、地元企業、学術機関、メディア、地域社会)が対等に協力することで強固なシステムを構築し、バンドンを新進気鋭のスタートアップ企業のインキュベーション地域として、また中小企業の創造的なハブとして位置づけるスマートシティのコンセプトを実践しています。

バンドン市のコラボレーションモデルでは、スタートアップ企業や大学と協力してテクノロジーを正しく活用することで、バンドン市がオペレーションを監視する集中型のコマンドセンターを構築しました。また、公共サービスや情報システムのデジタル化も進んでおり、インドネシアや世界の他の都市さえもが参考にすべき貴重な資源となっています。

ジャカルタ・スマートシティ

首都ジャカルタは、2015年にスマートシティプログラムを開始しました。バンドンに倣い、「スマートコラボレーション」を主な目的として、地元のスタートアップ企業やデジタル企業とのパートナーシップを追求しています。大都市であるジャカルタは複雑な都市問題を抱えていますが、その問題を解決するために、ジャカルタは自らを野心的な技術プロジェクトのための実験的なプラットフォームとして位置づけています。

Tokopedia、Bukalapak、GoFoodなどの電子商取引やフードデリバリーサービスは、市の電子決済やビジネスサービスを支援しています。また、GoJek、Grab、Wazeなどの既存企業は、市政府とデータを共有し、スマートモビリティのプログラムを改善しています。また、政府はQlue、Nodeflux、Informasi Pangan Jakartaと協力して、スマートなガバナンスサポートに取り組んでおり、市民はBotikaとDuitHapeを活用することで、支払いをより簡単に行えるようになります。

スマートシティの未来

西ジャワ州では、スマートシティの開発を始めたのは比較的最近ですが、バンドンやジャカルタの好例を取り入れ、州内のデジタル化を急速に進めています。マカッサルやデンパサールなどの他の都市でも市民のためのデジタルソリューションを強化しています――このことはテクノロジーやデジタルに特化した企業にとって、インドネシアの次世代の都市を形成し、変化させるための刺激的でユニークな機会となっており、目標の100都市達成に着実に近づいている状況と言えるでしょう。

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