電子商取引(eコマース)は、私たちの日常生活に欠かせないものとなっています。インドネシアでは、2015年には総取引額の2%に過ぎませんでしたが、2020年に年率76.3%という驚異的な成長を遂げ、2020年から2025年の間にも16%近い成長が見込まれています。電子商取引は、今後5年以内に、同国の総取引額の27%を占めるようになることが予想されています。 

インドネシアでは電子商取引がデジタル部門の創出・発展に大きな役割を果たしており、デジタル経済の売上は、主に電子商取引のプラットフォームから生まれています。しかし、デジタル経済の概念が広まっているにもかかわらず、デジタル化の導入レベルは大企業と中小・零細企業とで依然として大きく異なっています。大企業にとってデジタル化は当然のことですが、中小企業にとっては未だに大きなハードルとなっており、デジタル技術を活用している中小企業は全体の13%に留まっています。 

電子商取引が企業のデジタルトランスフォーメーションを容易に 

大企業では約90%が中核的なビジネスプロセスや業務の改善にデジタル技術を活用しており、デジタル化のニーズに対する適応と理解が早い企業が増えていることがわかります。しかし、組織開発や事業戦略にデジタル技術を活用するデジタルトランスフォーメーションについては、現在55%の企業しか導入していません。 

デジタルトランスフォーメーションの導入率が低いことに加えて、多国籍企業と地元企業の間には、下図で表したように、大きな違いがあります。 

多国籍企業は、拠点の壁を超えてデジタル化を推進することに力を入れています。これは、地域の状況にかかわらずグローバル本社の方針が現地法人にも適用される「グローバル・ディレクション」によるところもあります。この傾向は特に戦略面で顕著に表れており、地元企業よりも革新的な方針を打ち出しています。 

前述した通り、インドネシアのデジタル経済の将来を形作る上で、電子商取引は中心的な役割を果たします。また大企業では、テクノロジーを活用して顧客と接点を持つなど、電子商取引は先進的なデジタル化の構成要素としてもより重要になるでしょう。これによって、企業はデジタルインフラを新たに構築する必要がなくなり、低コストでデジタルトランスフォーメーションを実現することができます。 

インドネシアの中小企業にエンド・トゥー・エンドのソリューションを提供する電子商取引 

インドネシアの中小企業にとって、デジタル化は今後も最重要課題となるでしょう。デジタルプレゼンスを持つ中小企業は全体の13%に過ぎず、もし適応できなければ、下図のように、インドネシアの中小企業は電子商取引の可能性を生かすことができません。 

主に電子商取引を通じたデジタル化の導入は、中小企業に市場参入の機会などのメリットをもたらします。今日、電子商取引のプラットフォームはより一層の進化を遂げるとともに、Bank Rakyat Indonesiaや大手のローン会社であるKredivoなど、銀行やローン会社と連携することによって、従来型のローンや与信条件も提供しています。これらは間違いなく、中小企業が効果的かつ効率的なデジタル化を非常に低いコストで実現することに役立ちます。 

そうした基本的な構成要素に加えて、さらに電子商取引の教育モジュールを提供すれば、中小企業は電子商取引のプラットフォームに参入するだけでなく、長期的に見てもビジネスをより分析的かつ効果的に管理できるようになるでしょう。 

インドネシアにおけるデジタル経済の未来 

デジタル経済の発展に伴い、電子商取引のプラットフォームが地域社会に与える影響も拡大しています。効果的でコスト効率の高いデジタル化が可能になれば、デジタルトランスフォーメーションへの移行がより効果的になり、販売者と電子商取引プラットフォームの両方が成長するような、相互利益の関係が生まれます。 

大企業と中小企業では直面する課題が異なるため、電子商取引のプラットフォームは、大企業向けのアプローチと機能を、インドネシアの中小企業向けのものとは異なるものにすることが重要です。適切な戦略を活用することで、多くの販売者を惹きつけ、プラットフォームを成長させると同時に、長期的には販売者にも利益をもたらすことができるのです。 

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