Vietnam Plusが報じている通り、ベトナムは2022年3月に外国人観光客の受け入れを再開しました。以降、同国は相当数の入国者を迎えており、観光産業が活性化しています。ベトナムの観光産業が新型コロナウイルスのパンデミックの影響によって2020年に約230億米ドルの収益を失ったことを考慮すると、観光客の流入は歓迎すべきニュースです。

また、ベトナムでは、今年2022年5月に第31回東南アジア競技大会(SEA Games)の開催が予定されており、新型コロナウイルスの流行による開催延期後のため、選手たちを応援するために多くの観光客が入国することが予想されています。このように、ベトナムの企業や専門家は、観光産業を通じて経済回復を促進することのできるまたとない状況にあるのです。

観光振興のカギを握る

アジア開発銀行(ADB)は、観光収入の増加に伴い、ベトナムの経済成長率は2021年の2.6%から2022年には6.5%に上昇すると予想しています。

この経済予測を達成するには、観光産業が大きな役割を果たすと考えられます。特に新型コロナウイルスの規制緩和やSEA Gamesのようなイベントによる観光客の増加に伴い、飲食、宿泊、レジャーなどのサービスに特化したホスピタリティ産業の成長が期待されています。

この機会を活かすために、現地の企業は製品やサービスを革新することでその地位を高め、広告やコミュニケーション活動を最適化することで潜在顧客を引きつける必要があります。例えば、ハノイ郊外にあるバッチャン村では、最近、複数の事業者が旅行代理店と協力して新たな観光プランを開始しました。これにより、ベトナムの文化をより深く知ってもらうとともに、村の経済収入を増加させることが期待できます。  

さらに、インターネット経済の成長も、現地の企業にとって考慮すべき領域です。YCP Solidianceのホワイトペーパー「Road to Recovery: 東南アジアにおけるパンデミック後のビジネス展望」では、ASEAN6カ国(インドネシア、タイ、マレーシア、ベトナム、フィリピン、シンガポール)のインターネット市場が2017年から2021年にかけてCAGR37%で成長したというデータが示されています。特にベトナムは、インターネット市場がCAGR29%  で成長し、この地域で最も高い成長率を示しています。

関連分野で見込まれる事業機会
今後数ヶ月の間に予想される観光産業の活動を十分に生かすために、ベトナムは「社会経済回復・開発プログラム」をはじめとする取り組みに注力する必要があります。このプログラムは、パンデミック後の社会経済の回復と開発を強化するために2022年1月に開始されました。パンデミックで明らかになった労働者用住宅や公営住宅などの問題に対処することで、中小企業の規模拡大と業績向上を支援することを目的としています。

また、官民の協働についても、ビジネスを加速させるため、引き続き注目すべきです。YCP Solidianceのレポート「官民連携:ベトナムの持続可能な都市開発 」では、物流や交通インフラなどの分野での官民の協力が、企業の商品・サービスの大都市から地方へ、あるいは地方から大都市への流れを促進することについて解説しています。さらに、Hanoi Timesは、急速なデジタルトランスフォーメーションの中で、政府が官民パートナーシップ(PPP)を奨励する環境を確立することを表明したとも報じています。

政府の取り組みや官民協働の重要性を考えると、SEA Gamesのようなイベントがもたらすビジネスチャンスを活用したい企業は、パートナーシップへの関心が高まる中、積極的にその機会を探す必要があります。


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