世界的なデジタル化、オンライン化の発展に伴い、様々な業界・業種の企業がテクノロジーを導入し、ビジネスシーンでの様々な活用方法を模索しています。また、それに伴い、サイバーセキュリティの重要性もさらに増しています。
サードパーティ製ソフトウェア、ランサムウェア、データの脆弱性などがサイバーセキュリティの脅威を引き起こす可能性があることを考えると、デジタル面での安全性の確保は、ビジネスと経済の継続的な発展に不可欠な要素となり始めています。
特にシンガポールでは、これまでセキュリティ対策を十分に実施できていなかった企業の危機意識が高まっており、サイバー保険市場が活況を呈しています。
中小企業における新たな重要性
技術系ウェブサイトZDNetのレポートによると、シンガポールの中小企業は、サイバーセキュリティに掛かる高額な費用を維持できないことを理由に、その代替案としてサイバー保険への加入に関心を示しています。サイバー保険に加入することで、セキュリティ脅威に直接対処できずとも、ビジネスの安全性を高めることができます。
例えば、サイバー保険に加入することで、サイバーセキュリティインフラに関する維持費の心配がなくなり、また、サイバー攻撃を受けた場合に発生した損害の補償を受けることもできます。さらに、企業はセキュリティ評価などのサービスを利用できるので、企業の安全性に対する現状把握に役立ちます。
2021年8月、The Straits Times紙は、シンガポールの眼科がランサムウェア攻撃の被害に遭い、約73,500人の患者の機密データが流出したと報じました。報道では大きな被害は受けていないとされていますが、このようなサイバー攻撃は、被害を受けた企業に憂慮すべき影響を及ぼします。サイバー攻撃は、日常業務に支障をきたすだけでなく、顧客の信頼を損ない、将来的な投資誘致にも悪影響を及ぼす可能性があります。警戒体制の維持
こうしたサイバー攻撃は特に中小企業の懸念材料となっており、シンガポール政府は国内のサイバーセキュリティインフラを強化するための対策を講じています。2015年4月にシンガポール政府はサーバーセキュリティ機関であるCSAを設立した他、最近では4回目となるサイバーセキュリティ啓発キャンペーン「Better Cyber Safe than Sorry」を実施し、国民・企業への啓蒙活動を行っています。
さらに、シンガポール政府のデジタルサービス機関であるGovTechは、シンガポールのサイバーセキュリティにおける現状を把握するために、現在3つのクラウドソーシングを提供しています。脆弱性報酬プログラム(VRP)、政府バグ報奨金プログラム(GBBP)、脆弱性開示プログラム(VDP)は、政府機関が発見できなかったサイバーセキュリティ上の欠陥を国民・企業が発見することで報酬を得られるプログラムです。
また、シンガポールでは、政府がサイバーセキュリティ基盤の強化に向けて、国際的な関係者の協力を仰いでいることも大きな特徴です。CSAは2021年8月に米国との間で新たな覚書を締結したことを発表しました。このような協定の締結は、シンガポール政府が自国の企業や国民に最高のサイバーセキュリティサービスの提供を図っていることを示しています。