金融テクノロジー(フィンテック)は、ベトナムの消費者の決済方法を変えました。ベトナムのフィンテック市場の取引額は 2019年に90億米ドルに達し、2025年までに220億米ドルに成長する見通しです。

政府がキャッシュレス社会化を推進していることや、従来の銀行で十分なサービスを受けられていなかった国内の中小企業(SME)がフィンテックサービスを多数利用できるようになったことなど、いくつかの要因がこの産業の成長を後押ししています。フィンテックは、特にデジタル決済、個人金融、企業向けソリューションの分野で急速に成長していますが、この分野の成長を妨げているいくつかの重要な課題に対処するためには、大きな前進が必要とされています。この点については、YCP Solidianceのホワイトペーパー「ベトナムのフィンテックの成長性を解き明かす」で紹介しています。

フィンテックにおける成長への課題

ベトナムは現在、銀行での普及率に関して、他の東南アジア諸国に遅れを取っています。マレーシア(93%)やタイ(91%)といったASEANの近隣諸国に対して、ベトナムの普及率は63%に留まっています。この問題に正面から取り組むために、政府はより多くの国民がキャッシュレス決済を利用するためのプログラムを開発しました。

しかし、ベトナムがフィンテックの可能性を最大限に発揮するためには、他にも検討が必要な問題があります。

·       政府の規定(具体的には第24条、Circular 19)により、すべてのフィンテック取引はベトナム国家決済公社(NAPAS)を介する必要があります。フィンテック企業は、これによってこの新しいビジネス分野の進歩と革が制限されることを懸念しています。

·       ベトナムのフィンテック企業が成功するためには、2つの要素が必要となります。初期段階にある企業を支援するための大規模な資本、そして、経験豊富なシニア投資家からの経営ノウハウです。この2つがなければ、スタートアップ企業の70%は最初の1年で失敗してしまいます。

·       多くのフィンテック企業が悩んでいるのが、認知度と信頼性です。この新しいビジネス分野で成功するためには、広報やブランド構築のキャンペーンを通じて消費者の信頼を得ることが重要です。しかし、これらのキャンペーンには費用と時間がかかります。

·       デジタル技術の急速な発展に伴い、フィンテック業界はサイバーセキュリティのリスクにさらされています。

求められるソリューション

こうした問題は、不安要素ではありますが、革新的なソリューションを設計し、様々な関係者と強力なパートナーシップを構築する絶好の機会でもあります。

·       このプロセスを規制し、スタートアップ企業を支援するために、2017年に国家決済公社と中央銀行によってフィンテック指導委員会が設立されました。この委員会は、スタートアップ企業のための法的枠組みを構築し、フィンテックの成長と発展をより良く支援する方法について政府に助言することを役割としています。

·       また、新興のフィンテックビジネスを支援するためのプログラムもいくつか作られています。例えば、2025年まで実施される予定のISEV(National Program to Support Innovative Start-up Ecosystem in Vietnam)は、スタートアップ企業が新しい技術やビジネスモデルによって高成長企業になることを支援することを目的としています。また、VisaやThinkZoneのようなインキュベーターやアクセラレーターは、新興企業が成長するための資金援助や専門知識、施設を提供することで、政府の取り組みを補完しています。

フィンテックの成長を阻むいくつかの障壁にはまだ対処する必要がありますが、ベトナムにおけるフィンテックの成長と将来には無限の可能性があります。これは国内外の投資家にとっても同様で、M&Aの機会も豊富に存在しています。

成長を続けるベトナムのフィンテック産業について、また、この分野への投資や特有の問題への対処法については、こちらのホワイトペーパーをダウンロードしてご覧ください。

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