2022年、シンガポールの企業や専門家はどのような事業機会に期待できるでしょうか。YCP Solidianceは、シンガポールの最新ビジネストレンドについて、同国のプロフェッショナルチームによる調査・分析に基づいた詳細なインサイト記事を数回にわたって公開しています。

シリーズ第2回は、2022年に、シンガポールのポストパンデミックにおける経済回復のための変革ツールとして、企業がデジタル化をどのように活用するべきかについて解説します。この記事シリーズの最新回をお読みいただくには、こちらからニュースレターをご購読ください。 

パンデミックが引き起こす課題が依然として残る状況で、2022年のビジネスにおいて、デジタル化が重要な役割を果たすとして、企業はその取り組みを強化しています。 

特にシンガポールは、アジアで最も技術力の高い経済国の1つとして台頭しています。シンガポールはデジタル化によって、国内外の企業にとって魅力的な投資先となっています。この機会を適切に活用するために、シンガポールの企業や専門家は、規模の大小にかかわらず、変化するデジタル化の流れに対応しつづけなければなりません。

長期的な視点でのデジタル化支援

シンガポール政府と関連団体は、支援を必要とする企業のデジタル化を実現するための取り組みを展開しています。これらの取り組みは、最終的にシンガポール全体のデジタル化を推進することを目的としています。 

例えば、規制と企業開発を担う政府機関である情報通信メディア開発庁(IMDA)とエンタープライズ・シンガポール(ESG)は、デジタルリーダーズプログラム(DLP)を立ち上げました。この取り組みは、企業がデジタル化を導入してケイパビリティを向上させることを支援するとともに、技術的な発展の支援を第一の目的としています。一方、ベター・データドリブン・ビジネス(BDDB) プログラムと名付けられた同様の取り組みは、デジタル経済において競争力を維持するために必要なリソースを中小企業が備えることを目的としています。

これらの取り組みは、官民の双方がデジタル化の有益性を以前にも増して認識するようになったことをや、官民の連携が、利益の拡大を望む企業にとって不可欠な役割を果たすことを示しています。シンガポールでは、今後数年間にわたってデジタル化が進むと予測されており、特にASEANが第四次産業革命(4IR)に向かう中で、デジタルトランスフォーメーションを促進するためのさらなる取り組みが期待されています。 

投資の安全性確保

デジタル化は柔軟性・機動性が高いという特性を持つため、さまざまな業界で導入することができます。また、ビジネスのニーズに応じて導入する方法や規模を調整することができます。eコマース、製造業、農業などの産業で応用されていることからも分かるように、デジタル化の柔軟性は、さまざまな分野や産業で投資が行われる可能性に繋がります。ここでは、その一例をご紹介します。

l  就労形態:リモートワークの持つ可能性が明白となった現在、企業はデジタル化を活用した就労形態の改善方法を模索しています。そのため、Zoom、Poly、Google Meet、Salesforceのようなリモートワークを促進するプラットフォームは、最も大きな利益を得ることが期待できます。

l  人工知能:自動化とAIの応用によるデジタル化は、労働力不足のギャップをある程度埋めることに成功しました。国家研究財団(NRF)は1億5千万シンガポールドルを投じて、国内のAI能力を強化し、複数分野にわたって発展させる方法を研究しています。

l  サイバーセキュリティ:企業や顧客のオンライン化が進むにつれ、セキュリティ侵害やデータ漏えい(個人情報、財務記録など)のリスクも高まっています。そのため、デジタル保護が急務となっています。

l  3Dプリント:特に購入や調達が困難な物に対する代替手段として、3Dプリントが利用できる場合があります。 

デジタル化は第四次産業革命に向けてビジネスを準備するためのツールであり、単に短期的な利益をもたらすトレンドとしてではなく、今後のビジネスの方向性に大きな影響を与える持続的なムーブメントとして捉えるべきものです。私たちの思い描く未来は、デジタル化によって実現されていくのです。

 

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