「ベトナムは都市部を中心に生活水準が高まっており、ホーチミン市とハノイの両都市では自家用車の利用率が高まり、交通渋滞が深刻化しています。公共交通機関の選択肢が限られているため、公共及び民間部門の両方がようやくこの問題に取り組み始めた段階であるため、交通渋滞は大きな問題となっています。急速な都市化に直面するなかで持続可能な都市を建設することは困難ですが、ベトナムはこの取り組みを進めています。同国は、より効率的な都市マネジメントを推進し、生活の全体的な質を向上させるために、公共交通機関の改善、緑地化、グリーンビルディング、スマートシティの導入など、様々な取り組みを開始しています。

ベトナムにおける道路輸送量と粒子状物質の排出量は、2015年にそれぞれ年平均12.5%と8.6%で増加しており、生活の質と公衆衛生に悪影響を及ぼしています。公共交通機関は持続可能な都市にとっては根幹をなす要素であり、交通渋滞の理想的なソリューションですが、ベトナムでは整備されていないのが現状です。現在、都市部全体の約10%、ホーチミン市の8.6%のみが交通機関でカバーされています。ホーチミン市は通勤用フェリーシステムの導入を開始し、ハノイではバス高速輸送(BRS)システムが整備されています。地下鉄の建設は両都市で進んでいますが、現在は財政上の問題により遅れが生じています。



持続可能な都市の発展には、緑地が不可欠です。ハノイとホーチミン市は、緑地の拡大に向けてのイニシアチブを掲げています。ハノイは2050年までに新設、改修を含め60の公園を整備する計画を立てており、ホーチミン市は住宅建設プロジェクトや新しい都市開発において、緑地の開発に注力しています。しかし、両都市ともに、アジアの他の多く都市に遅れをとっており、持続可能な緑地環境に到達するには長い時間を要するとみられています。

持続可能な都市の開発におけるもう一つの重要な要素は、グリーンビルディングです。2017年時点で、ベトナムでは、ホーチミン市とハノイで60の国際認証を受けたグリーンビルディングのプロジェクトが存在しています。ベトナム政府は、環境の保護と天然資源環境省が掲げたエネルギー効率目標の達成を目的とした、緑化拡大イニシアチブを推進し始めました。また、商業施設プロジェクト向けの大規模な太陽光発電システムやスマートホームの概念も国内で人気が高まっています。

持続可能な都市における最後のフロンティアである、スマートシティは、生活の質を管理・向上させ、エネルギー資源を効率的に使用し、エネルギーサービスを改善するために、テクノロジーを活用する都市のあり方です。ベトナムでは、現在33の都市と省が、スマートシティに向けての取り組みを開始しています。ベトナム持続可能なスマートシティ開発プロジェクト2018-2025が承認され、ホーチミン、ハノイ、ダナン、カントーが最初の中核となるスマートシティとして開発されることになっています。このプログラムは、交通、医療、エネルギー需要への対応、教育、公共サービスのデータおよびICTなどの問題に注力するものです。さらに、マイクロソフト、IBM、ベトテルなどの大手IT企業は、スマートシティ技術を統合するために、政府とパートナーシップを締結しています。

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