新型コロナウイルスの影響やテクノロジーの発達に伴い、様々な企業や業界でデジタルトランスフォーメーションが推進されています。デジタルソリューションの導入には大きなメリットがありますが、同時にインフラが重要な役割を果たすことも考慮する必要があります。デジタルトランスフォーメーションを効果的に実現できる設備がなければ、投資の失敗は避けられません。 

急速な発展を遂げるフィリピンでは、適切なクラウドとデータセンターの必要性が高まっていることを受け、対策が進められています。コンピューターシステムと関連コンポーネント(ストレージ、データ、サーバーなど)を収容する集中施設として、クラウドとデータセンターを整備することが、テクノロジーとデジタルプロセス全体を強化するために不可欠です。  

フィリピンにおけるデータセンター改善の重要性

We Are SocialとHootsuiteによるレポート「Digital 2021」によると、フィリピンにおけるインターネットの一日の平均利用時間は10時間56分と、世界最長水準です。また、エプソンが2020年に実施した調査では、フィリピンの中小企業の過半数が、業務改善のためにデジタルソリューションが重要であると認識していることが示されています。これらは、フィリピンがテクノロジーに対して熱心な国であることを反映している一方で、現行の技術インフラの改善が求められていることも示唆しています。

YCP Solidianceのホワイトペーパー「インドネシアは2045年までに『100 Smart Cities』計画を達成できるか」では、経済、生活の質、アクセス性の向上などのメリットをもたらすスマートシティの構築に際して、クラウドやデータサービスなど、様々な形態のテクノロジーが不可欠であることが示されています。インドネシアはクラウドやデータサービスの可能性を最大限に引き出している代表的な例ですが、こうした技術を活用してスマートシティ化を進めることは、世界中の発展途上国に応用することが可能です。

様々な分野にもたらされる有益な機会を考慮すると、フィリピンのクラウドおよびデータセンターを充実させることの重要性は決して低くありません。インフラの改善は、都市のスマートシティ化を進めるための第一歩となります。

国内開発の拡大

Philippine News Agencyによると、Alibaba Cloud(多国籍ハイテク大手Alibabaグループの子会社)が、フィリピンに初のデータセンターを建設する計画を6月に発表しました。また、フィリピンの通信事業者であるConvergeICT Solutionsも、セブ島に10億PHP規模のデータセンターを建設することを表明しました。このように国内での開発が活発化していることからも、大手企業がフィリピンのクラウドおよびデータセンター開発の可能性に注目していることが伺えます。

フィリピンでは、民間企業によるこのようなサービス開発に向けた資金配分が、今後数年間でさらに拡大すると見られています。データ分析会社GlobalDataは、フィリピンにおける企業のクラウドへの支出について、2020年の18億ドルから飛躍的に成長し、2024年までに26億ドルに達すると予測しています。

大手企業がクラウドやデータセンターの開発に積極的に取り組んでおり、主要産業の企業がその動きを支援していることからも、フィリピンのクラウド・データセンター市場への投資が活発化することが見込まれます。

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