ベトナムの2大都市であるホーチミン市とハノイは、持続可能な未来都市となるべく動いています。ホーチミン市を2020年までにベトナムで最初のスマートシティとし、2030年までにハノイがそれに続くことを目指す政府目標の一環として、スマートシティ建設に向けての10億ドル規模のメガプロジェクトが現在進行中です。弊社のレポートは、ベトナムが持続可能な都市の開発を推し進める上で重要となる4つのトピック(公共交通機関、緑化、グリーンビルディング、スマートシティのイニシアチブ)について深く掘り下げています。
持続可能な都市を構成する4つのコア構成要素
ベトナムの道路渋滞を緩和するソリューションとしての公共交通機関
公共バスシステムは、ベトナムの都市で最も頻繁に利用されている公共交通手段ですが、政府は現在、道路の渋滞を緩和するために、地下鉄の周りに専用の都市鉄道網の整備を進めています。官民パートナーシップモデルを通じて、政府は民間セクターから大規模な輸送プロジェクトへの投資を呼び込みました。2017年10月には、130社もの投資家が、170億米ドル規模の投資が見込まれるPPPプロジェクトへの投資を希望していました。
生活の質を高める緑豊かな都市環境
ハノイとホーチミン市は、特に、緑化の面で他の多くのアジアの都市に遅れをとっており、都市化における新たな課題となっています。この問題に対処するために、政府は住宅地周辺でより多くの緑地を確保する取り組みを行っています。例えばホーチミン市は、住宅プロジェクトや新しい都市開発における緑地の開発に注力しており、ハノイは都市開発を管理する計画において、2030年までに樹木や噴水の増加を目指しています。2025年までに、ハノイでは18カ所の新しい公園と、42カ所のアップグレードまたは改装された公園や庭園を含む、計60カ所の公園が整備される予定です。グリーンビルディングに関して、2017年時点で、ベトナムには国際認証を獲得したグリーンビルディングプロジェクトが60件以上存在していましたが、その後、総プロジェクト数は110件にまで増加しています。
スマートシティを建設するためにベトナムに注ぎ込まれる数十億ドル規模のプロジェクト
ホーチミン市とハノイでスマートシティ技術を統合するため、政府と民間部門のパートナーシップ形成が進められています。現在、ベトナムの33の都市と省は、都市の管理を容易にし、密集した都市部における全体的な生活の質を高めるために、スマートシティのイニシアチブを進めています。
ホーチミン市:ベトナムで最初のスマートシティになる計画が立てられています。2017年、韓国ロッテグループとホーチミン市人民委員会は、トゥーティエム新都市区に19億米ドル規模のエコスマートシティを建設する契約を締結しました。
ハノイ:ベトナムのBRGグループと日本の住友商事は、ニャットタン・ノイバイ地区(ハノイ北部)に、東南アジアで最も近代的なスマートシティの1つと評価されるような都市の建設を目指しています。40億米ドルを超える規模のこのメガプロジェクトは、2018年10月に開始されます。