COP27の気候変動会議に見られるように、再生可能エネルギーの導入は、世界各国のエネルギー市場において、長い間重要な課題となってきました。この世界的な流れを受けて、インドネシアもまた、クリーンエネルギーへの移行を最優先事項と位置づけ、エネルギー安全保障や化石燃料への依存などの課題解決に取り組んでいます。

ビジネス面では、再生可能エネルギー分野の開発強化を目的とした政策が、関連産業の展開と成長、そして国内外のプレイヤーからの投資呼び込みにも大きな影響を与えることが期待されます。

クリーンエネルギー発電への移行

近年、インドネシアの経済と産業が化石燃料に大きく依存していたことを踏まえると、クリーンエネルギーへの移行は大掛かりな事業となるため、段階的に行われると考えられます。再生可能エネルギーの導入計画においては、特に電力分野が円滑に移行できるような政策や制度を確立するために、公的機関が重要な役割を果たすことになります。

例えば、インドネシアの電力業界を分析した2022年のレポートが報じているように、政府は最近、石炭火力発電所の早期廃止のための取り組みを3つ導入しました。ブレンデッドファイナンスなどの手法を通して、国営企業が既存の石炭火力発電所の運営を引き継ぎ、その稼動期間を短縮するというものです。西ジャワ州では、これによって石炭火力発電所の稼動期間が24年から15年に短縮され、1,200万米ドルのコストと最大5,100万トンの二酸化炭素排出量の削減が見込まれています。

一方で、インドネシアのネットゼロ・エミッションの実現には、国際的なプレイヤーの参入も欠かせません。インドネシアは、エネルギー分野への新規参入を促進するために、クリーンエネルギーへの移行に同様に投資している国々との国際的な関係を強化する必要があります。Arab Newsの報道によると、サウジアラビアは石油化学、電力、再生可能エネルギーといった主要分野での投資機会を開拓し、インドネシアとのエネルギー分野の関係強化に取り組んでいます。

また、国際的なプレイヤーは、インドネシアの電力業界において、再生可能エネルギーのインフラ開発でも協力する機会を提供することができます。日系企業の住友商事と中国系企業のPowerChinaインドネシア法人が、ボルネオ島に178億米ドルの水力発電所開発を進めるなど、取り組みはすでに始まっています。

関連産業への投資機会
インドネシアのクリーンエネルギーへの移行はまだ初期段階ですが、これらの事例は、インドネシアが再生可能エネルギー分野でクリーンエネルギーへの移行を加速させる準備が十分に整っていることを示しています。そして、このような発展は、関連産業のステークホルダーにとって有望なビジネスチャンスの獲得に繋がります。

クリーンエネルギーへの移行が企業にもたらす競争優位性を考慮すると、インドネシアの他の産業も必然的に電力業界に追随することになることが予想されます。特に製造業や金融業などが、電力業界のクリーンエネルギーに関する取り組みから恩恵を受けることができる見込みです。

例えば、製造業では、クリーンエネルギーの導入にスマートテクノロジーの導入が必要となります。ロボット工学、人工知能、モノのインターネット(IoT)などのソリューションは、業務効率向上や長期的な経費削減、製造手法の持続可能性向上を促進します。同様に、金融業界でも、ペーパーレスで二酸化炭素排出量がほぼゼロの電子マネーのような金融技術を活用することで持続可能性を向上させることができます。

全体として、インドネシアがクリーンエネルギーに移行するにつれて、投資機会は電力業界以外にも広がるため、投資家は他の産業で持続可能性を向上させる方法にも注目するようになると考えられます。このように、クリーンエネルギー事業が国内外のプレイヤーを惹きつけるビジネスチャンスに直結することが期待できます。

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