2022年、ベトナムの企業や専門家はどのような事業機会に期待できるでしょうか。YCP  Solidianceは、ベトナムの最新ビジネストレンドについて、ディレクターのDennis Lienによる調査・分析に基づいた詳細なインサイト記事を数回にわたって公開しています。

第1回は、2022年にベトナムでトレンドとなる産業や市場について、大枠を解説します。当シリーズの今後の記事を読むには、こちらからニュースレターをご購読ください。 

ベトナムでは、新型コロナウイルスの流行に対して早期に効果的な対応が行われた結果、製造業が事業を維持し、短期間かつ小規模の事業中断で済んだことが大きく影響して、経済は比較的好調に推移しました。Trading Economicsのデータによると、ベトナムのGDPは2020年に2.91%、2021年には2.58%の成長率を記録しています。

この数字は、新型コロナウイルスの流行下でもビジネスが成長したことを示すだけでなく、2020年と2021年に発展した市場やビジネスが、2022年も引き続きトレンドとなる可能性が高いことを示しています。

関心の集まる再生可能エネルギー

中でもベトナムで大きな関心を集めつづけているのが、再生可能エネルギーです。その背景には、再生可能エネルギー産業が過去数年間、特に太陽光発電と風力発電の分野で、かつてないほどの成長を遂げたことがあります。

REN21が2021年6月に発表した業界レポートによると、ベトナムの2020年の太陽光発電容量の増加幅は11.6GWを記録し、米国と中国に次いで世界第3位となりました。さらに、エネルギー経済・財務分析研究所(IEEFA)による別の報告書では、2021年1月時点で16.5GWの太陽光発電容量を実現しているとされています。

また、VN Express Internationalによると、ベトナムは風力エネルギーにも積極的に投資しており、第8次国家電力マスタープランの最新の草案では、2045年までに洋上風力発電の容量を36GWに拡大することを目標としています。

物流・製造業が支える成長

中国のゼロコロナ政策など、サプライチェーンに関する課題は根強く残っていますが、ベトナムの物流・製造業は依然として有望な立ち位置にあります。2022年も、地理的条件の有利さ、人口の多さ、拡大する労働市場(低熟練度~中熟練度)を生かして、引き続き産業が成長していく見込みです。

こうした背景から、ベトナムは国内外の投資家にとって魅力的な選択肢の一つとなっています。特に物流・製造業界では、新型コロナウイルスのワクチンの保管や、医薬品・食品のための冷蔵倉庫の需要増加に伴い、コールドチェーン・ロジスティクスの強化や、施設と港湾の連携強化などに必要な分野の開発推進が必要とされています。

さらに、クラウドベースのアプリケーション、ロボット工学、IoTなどのテクノロジーを従来の製造プロセスへ応用することで、オペレーションを自動化し、サプライチェーンのレジリエンスを確保できるなどのメリットが考えられるため、製造業は第4次産業革命(4IR)に積極的に投資することが予想されます。

eコマースとフィンテックの普及

eコマースやフィンテックは他の産業の成長を促進するものであり、市場も成長を続けている状況なので、2022年もビジネストレンドに影響しつづけることが予想されます。

eコマースやフィンテックの普及率は高く、さまざまな層を対象にビジネスが展開されています。たとえば、暗号通貨取引を行うフィンテック・プラットフォームは、若年層からの利用が拡大しています。

eコマースとフィンテックの両業界は、好況を生かすために、2022年は製品開発と関連チャネルに積極的な投資を行うことが予想されます。

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