2022年、ベトナムの企業や専門家はどのような事業機会に期待できるでしょうか。YCP Solidianceは、ベトナムの最新ビジネストレンドについて、ディレクターのDennis Lienによる調査・分析に基づいた詳細なインサイト記事を数回にわたって公開しています。
第2回目は、ベトナムの再生可能エネルギー分野への取り組みと、その投資による業界の成長促進について解説します。当シリーズの今後の記事を読むには、こちらからニュースレターをご購読ください。
ベトナムでは、太陽光発電や風力発電などの開発によって、再生可能エネルギーの分野が大きな成長を遂げています。近年進展を遂げている同分野には、今後もさらなる発展の余地が残されています。
再生可能エネルギーは、政策改革や再生可能エネルギーの利点への関心の高まりなどによって、2022年以降数年にわたって、多くの企業や投資家から関心を集めることが予想されます。
産業界の発展に関する考察
2018年、ベトナムの太陽光発電(PV)容量はわずか86メガワット(MW)でしたが、再生可能エネルギーの重要性に対する考え方や注目度が大きく変化したことにより、わずか1年で4.75ギガワット(GW)にまで増加しました。その後も増加傾向が続き、2021年1月には16.5GWに達しています。
ベトナムの再生可能エネルギー分野の急速な発展は、風力発電にも及んでいます。2020年の再生可能エネルギーに関する報告書によると、ベトナムは現在1180万kWの風力エネルギーを生産しており、年間の風力発電容量の増加率は70%を誇っています。2025年には、陸上および洋上の風力発電プロジェクトを通じて、発電容量をさらに12GW拡大する見込みです。
これらのデータは、単にベトナムにおける自然エネルギーの開発が非常に成功しているというだけでなく、官民にわたる需要が拡大しつづけていることを示しています。また、再生可能エネルギーに対する世間の関心の高さから、企業や専門家も同様に、再生可能エネルギーを長期的な目標として認識し、コミットしていくことが予想されます。再生可能エネルギーがもたらす恩恵を逃さないために、投資家は機を逃さず迅速に投資することが推奨されます。
基盤を整え、変革を推進する
ベトナム政府は、再生可能エネルギー分野全体の発展を重視する環境を醸成するため、関連事業に携わるメーカーやデベロッパーに直接的な利益をもたらすいくつかの改革に着手しました。
ベトナムで再生可能エネルギーの普及が進んだ最大の理由は、法人所得税や輸入税の優遇制度もさることながら、再生可能エネルギーへの投資や利用を促進するための政策「固定価格買取制度(FiT)」の導入であると考えらえます。「第8次国家電力マスタープラン(PDP8)」の草案でも、再生可能エネルギーの導入と化石燃料からの移行に対するベトナム政府の強いコミットメントが示されています。
FiT、PDP8、税制優遇、インセンティブなど、ベトナムは現在、再生可能エネルギーへの参入に有利な状況です。こうした取り組みは今後も続くと予想されるため、国内外の投資家は、ベトナムの再生可能エネルギーを、リターンが期待できる事業として検討すべきです。
今後ベトナムでは、国際的にも国内的にも、再生可能エネルギー分野の急速な発展が見込まれています。国内の発展では、官民の連携が成長の原動力となります。また、これまでの実績から、今後はベトナムに投資し、事業を展開する外国企業が増加することが予想されます。