暗号通貨の出現と普及に伴い、アジアの各国が様々な対応を取っています。インドや中国では暗号通貨とその関連活動を取り締まっている一方、ベトナム、カンボジア、インドネシアなどの国は、この機会を利用して、金融テクノロジー産業における自国の地位を向上させようとしています。
フィリピンは後者の国の一つです。「The Philippine Star」の記事によると、2020年1月から9月までの暗号通貨の国内取引数は、前年の530万件から36%急増し、720万件に達しました。また、「Oxford Business Group」では、暗号通貨の普及率において、ナイジェリア、ベトナムに次いでフィリピンが第3位であることが報じられています。
2020年4月に発表されたYCP Solidianceのホワイトペーパー「決済のデジタル化:フィリピンにおける電子マネーの出現」によると、フィリピンでは金融テクノロジーの成長が続いており、暗号通貨の将来に有利な傾向が見られます。
国内のサポートと暗号通貨に配慮した規制
2016年、フィリピンの中央銀行であるBangko Sentral ng Pilipinas(BSP)は、BSPに送金会社として登録することを義務付けることで、暗号取引所を規制しようとする枠組みを構築しました。「Bitcoin.com」の記事によると、フィリピンの中央銀行は2020年時点で計16種類の暗号通貨を承認・規制対象としています。
また、「Business Insider India」の記事によると、フィリピン証券取引所(PSE)は現在、証券取引委員会(SEC)からの暗号取引の管理に関するガイドラインの発行を待っており、暗号取引を管轄下に置くことに関心を示しています。
PSEとBSPの双方が継続的な関心を示していることは、暗号通貨に投資し、地域社会に普及させるというフィリピンの狙いを後押しする、ポジティブな兆候です。
今後の投資と応用の可能性
暗号通貨に対するBSPの継続的な関心の一例として、「Yahoo Finance」は、フィリピンの中央銀行が独自の中央銀行デジタル通貨(CBDC)の実現可能性について調査を行うことを発表したと報じました。こうした高い目標の達成には時間がかかるかもしれませんが、そのための取り組みは前進に繋がります。
同様に、フィリピン通信社(PNA)によると、フィリピン最大の都市の一つであるセブ市は、フィリピンと韓国の企業であるC Pass Inc.とのジョイントベンチャーを通じて、暗号通貨の検討に着手しました。セブ市は、市民が手軽に購入して自分のウォレットで使用することができる安定した暗号通貨、C PESOを市役所での決済に使用できるようにすることで、暗号通貨の実用性を模索することを目指しています。この通貨は、イーサリアムのブロックチェーン技術を利用し、また、韓国で採用されているのと同じシステムを使用する予定です。
フィリピンのトップ・モバイルウォレットであるGCashも、暗号通貨の売買や管理などのサービスを模索しています。同社は現在、Telcoinを使用してカナダからフィリピンへの暗号通貨のモバイル送金サービスを提供していますが、今後さらに関連サービスを拡大することで、画期的な暗号通貨サービスとなる可能性があります。
暗号通貨の将来性
総合的に考えると、フィリピンの暗号通貨の将来が明るいことは確実です。政府当局、現地企業の両方が先頭に立って動いていることで、暗号通貨取引所が現地で成長を続ける可能性はますます高くなっています。