新型コロナウイルスのパンデミックの影響を受けない業界はありません。中国のロボット産業も例にもれず、ベンチャーキャピタルからの資金調達状況の変化によって大きな影響を受けています。2020年初頭に新型コロナウイルスが流行しはじめてから、取引数・取引額ともに50~57%減少し、投資家は今後もリスク回避の姿勢を維持すると見られています。

しかし、ロボット業界は「ニューノーマル」に適応し、パンデミックの影響を受けた様々な分野にロボット技術を取り入れることでコロナ禍という逆境をビジネスチャンスへと変えることに成功しています。多くのロボットベンチャー企業が、以下に示す戦略を採用し、自社の最先端技術の価値を示すことで成長の機会を掴んでいます。

1. 既存のリソースを活用した顧客起点での新たな収益源の確保

このアプローチにおいて、ロボットベンチャー企業は、顧客のニーズの変化に敏感に反応し、自社の得意分野を活用して、質の高いソリューションを迅速に提供する必要があります。

·       XAG Technologiesは、自社の農業用ドローンやロボットを、空気清浄機や無人消毒車として再利用し、韓国、ベトナム、イギリスの政府と契約を結びました。

·       Insight Roboticsは、同社の得意分野であるコンピュータビジョンと広範囲の熱感知技術を応用して新型コロナウイルスを検知・監視するシステムを開発し、香港の政府機関やNGO、その他の企業に採用されています。

2. 他企業との協働可能性の模索

ロボット関連のスタートアップ企業は、価値観や理念、全体的な事業戦略が合致する大手企業との協業可能性を模索することも必要です。逆に大手企業側は、スタートアップ企業の俊敏で革新的な思考を評価し、積極的な変革を実行するために必要なリソースやネットワークを提供する姿勢が必要となります。

その一例として、DBSは、全国的なロックダウンに際して、フードサービスの新興企業であるOddleおよびFirstComと提携し、オンラインでの食品注文・配達システムを立ち上げました。この提携によって、DBSの広範なネットワークを介して、より多くの消費者にサービスを提供することができました。OddleはDBSの顧客のためにブランドの電子メニュー、注文管理、決済システムを構築し、FirstComはソーシャルメディアサービスを担当。このように、3社はそれぞれの強みや得意分野を活かして効率的なネットワークを構築することができました。

3. 社会的責任を果たす

世界がパンデミックからゆっくりと、しかし確実に回復するにつれて、企業にとって社会的責任を果たすことの重要性が増してきています。戦略的パートナーとの協業も視野に入れ、自社のサービス、製品、資金などのリソースを従来よりはるかに低い価格で提供することで、自社の利益だけでなく、国の経済状態にも貢献することができます。 

·       遺伝子検査会社のPreneticsは、新興企業や保険会社のPrudentialと協力して、香港で家庭用の新型コロナウイルス検査キットをより手頃な価格で販売するProject Screenを立ち上げました。これによって、より多くの人々が、私立病院の高額な費用を気にすることなく検査を受けることができるようになりました。

·       予約アプリのGuluは、香港全体でマスクが不足している状況を受けて、レストランの行列への対応を生かして、高齢者の行列への対応へ事業を転換しました。Guluは、薬局やマスク業者と協力して自社のシステムを無償で提供し、様々な新規顧客を獲得して、ユーザー数はわずか3カ月で200万人にまで増加しました。

資金調達は依然として減少している状況ですが、ロボット企業は新型コロナウイルスの影響を軽減するために、自社の強みを活かして新しい市場へ積極的に進出しています。ロボット産業の様々な分野と、それらがパンデミック後の成長をどのように進めているかについては、こちらからホワイトペーパーの全文をダウンロードしてご覧ください。

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