世界経済が新型コロナウイルスの影響から回復する中、東南アジア諸国連合(ASEAN)のデジタル経済も成長の兆しを見せており、東南アジア(SEA)全体で経済成長が期待されています。10月5日に開催された第8回ASEAN経済共同体対話では、東南アジアの消費者のデジタル化が新型コロナウイルスのパンデミックを経て20%拡大したことが報告されるとともに、経済成長が2022年に5%、2023年に5.3%のペースで進むことが予測されました。

東南アジアのデジタル経済は急成長しており、さまざまな分野で投資の増加が期待できる状況にあります。

ASEANにおけるデジタル経済の成長維持

東南アジアで消費者のデジタル化によって成長している産業の中でも、eコマース分野は特に高い関心を集めつづけています。Binh Duong Newsは、東南アジアのeコマース産業は2022年に1,300億米ドルの収益を上げ、2025年まで15%の成長率が期待されると報じました。

eコマースの成長要因は国によって異なるため、ASEAN全体でeコマースの成長を推進するためには、共通の成長要因を強化することが重要です。つまり、eコマースは産業の成長に重要な役割を果たしているため、投資家はeコマースに関するデジタル化の機会を積極的に模索する必要があります。eコマースに関するデジタル化を推進することは、物流やテクノロジーといった関連産業の開拓機会にも繋がります。

タイでは、物流業界への投資機会や、物流サービスのデジタル化によるeコマースの改善が模索されてきました。たとえば、EC事業者は、サプライチェーン・マネジメントや配送業務を支援するサードパーティー・ロジスティクス(3PL)などのサービスを外部委託することが一般的になっています。また、eコマース・プラットフォームは、正確な商品追跡や統合された配送情報などによって、顧客にリアルタイムで情報提供できる物流企業とのコラボレーションに積極的です。eコマース事業に物流は不可欠であることから、この傾向は東南アジア全域で続くと予測されます。

一方、インドのeコマース分野では、顧客サービスの向上だけでなく、ビジネス上の意思決定のための情報収集にもデジタル技術を活用しています。消費者の嗜好や消費行動の理解、商品掲載の改善など、情報やトレンドを把握するために多くの企業がビッグデータや分析技術の活用を推進している現状は、特にスマートテクノロジー関連の企業にとって大きなチャンスとなります。今後、インドに続いて東南アジアでも、多くのeコマース・プラットフォームがテクノロジー企業とのパートナーシップを検討することが予想されます。

金融テクノロジー(フィンテック)産業もまた、東南アジアにおけるデジタル経済の成長を支えています。暗号通貨やモバイル決済、電子財布といったデジタル取引の普及により、フィンテック産業は急速な成長を遂げています。そのため、多くの産業がフィンテック技術を取り入れており、フィンテックはASEANのデジタル経済の発展に不可欠なものとなっています。SEA企業は今後もデジタル取引を拡大すると見られるため、フィンテック企業はあらゆる業界とのパートナーシップを模索する必要があります。

東南アジアでは、インターネット利用者の増加に伴い、ビジネスチャンスが次々に生まれています。ASEANのデジタル経済は、今後数年間、幅広い産業にわたって発展していく見込みです。

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