2021年9月初旬、マレーシアを拠点とするアグリテック(農業×テクノロジー)企業であるSM4RT TANI社がTechwire Asiaに取り上げられました。同社は、農家や農業関連企業が作物をモニタリングし、リアルタイムでレポートを作成できるプラットフォームを開発し、生産性の向上やコストの削減など、農場の運営改善に役立てています。
このプラットフォームのテストはマレーシアのいくつかの地域で既に開始されていますが、非常に保守的な農業を営むマレーシアでは、このような形でのデジタル技術の導入はまだ一般的ではありません。しかし、新型コロナウイルスの流行や消費者ニーズの変化の中で、この業界が成長・進化し、時代に対応していくためには、デジタル化が不可欠になります。
伝統的な産業
当社YCP Solidianceのホワイトペーパー「デジタルトランスフォーメーションの加速:マレーシア企業はデジタル化に対応できているか」によると、マレーシアの人々はデジタル技術を日常生活に積極的に取り入れており、キャッシュレス決済、電子商取引、ICTなどのデジタル領域が同国のGDP成長に大きく貢献しています。
しかし、デジタル技術が国民に浸透している一方で、マレーシア国内の一部の企業や産業は、デジタル化で遅れをとっています。特に農業は、マレーシアの最も重要な産業の一つであり、林業や漁業と合わせてマレーシアのGDPの約8%を占めています。にもかかわらず、多くの農家や農業を営む企業は依然として慣習的な方法を好んでおり、デジタルソリューションの導入に否定的です。
農業関連企業や小規模農家は、デジタル手法の導入に消極的である理由として、いくつかの障壁を挙げています。
ここ数年、政府は農業近代化のため、若者の農業への参加を奨励しています。2021年8月には、マレーシアの次期農業・食品産業省副大臣が、大卒者を近代農業に従事させることに注力することを発表し、クランタン、トレンガヌ、パハンの3地域を短期間の作物栽培地域に指定しました。また、デジタルネイティブの若者を農業市場に引き入れることで、機械学習、IoT、AIなどのソリューションを通じて、スマート農業の導入を急速に進めています。
デジタル化に向けた提言
デジタル化は、生産性を高めるだけでなく、全体的なコストの削減にも重要な役割を果たしています。英国のIT企業Eseye社は、IoTをベースにしたデジタルソリューションを農業技術に取り入れる企業が増えれば、食品廃棄物を2025年までに20%削減できると予測しています。
しかし、デジタル化のプロセスは、企業、農場、作物それぞれに固有のニーズがあるため、一律に対応できるものではありません。そのため、農業関係者は、各々のニーズ、リスク管理、リソースを調査し、以下のステップでデジタル化を進めていく必要があります。
このようなデジタル化のプロセスは必要不可欠であり、多くの農業関係者の今後の戦略に役立ちます。また、デジタル化のスモールスタートは、伝統的な産業である農業がスマートテクノロジーの利用に慣れるために非常に重要であり、時代の変化に合わせてビジネスの進化を促進します。
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