2022年、ベトナムの企業や専門家はどのような事業機会に期待できるでしょうか。YCP  Solidianceは、ベトナムの最新ビジネストレンドについて、ディレクターのDennis Lienによる調査・分析に基づいた詳細なインサイト記事を数回にわたって公開しています。

 

4回目は、ベトナムのeコマース分野について、企業や投資家が注目すべきトレンドを紹介します。当シリーズの今後の記事を読むには、こちらからニュースレターをご購読ください。


2020年のベトナムのeコマース業界の規模は、前年比18%増の約118億米ドルに上ると推定されます。この業界は今後も成長を続け、2021年から2025年の間に年間成長率30%を記録する見込みです。 

ベトナムのeコマース分野は現在も著しい成長を見せていますが、その利用者数は2025年までにさらに1,800万人増加すると見られ、今後も発展が続く余地を残しています。2022年には、各ステークホルダーや関連業界がベトナムのeコマース市場の発展をさらに促進すると考えられます。




ベトナム全体の成長を促進

ベトナムのeコマース産業は、海外からの投資やインターネットの普及、国民の消費意欲の向上などを受けて成長しています。新型コロナウイルスが流行する中でも成長している同産業は、パンデミックの収束後も引き続き発展し、他の産業にも良い影響を与えると考えられます。

 

企業と消費者を結びつけることができるeコマース分野の成長は、まだ発展途上にある他の市場にも恩恵をもたらします。たとえば、Open Gov Asia の記事によると、ベトナム政府は農作物を産地からオンラインで直接販売するeコマース・プラットフォームを通じて、農業部門を強化することを計画しています。

 

eコマース以外の業界の投資家、企業、ステークホルダーも、eコマースがもたらす事業機会に注視する必要があります。B to C取引の強化による経済成長の促進やビジネスのデジタル化など、eコマースは、他の産業の成長においても重要な役割を果たすことが期待されます。




フィンテックとの相関

eコマースと同様に、ベトナムの金融テクノロジー分野もパンデミックの影響を受けて飛躍的に成長しました。Statistaのデータでは、フィンテックの取引額は2021年に1437,000万米ドルを記録し、2025年には約230億米ドルに達すると予想されています。

 

ベトナムの金融テクノロジー分野の成長にはいくつかの要因がありますが、最も重要なのはeコマース分野の成長であると考えられます。フィンテックとeコマースは、アクセシビリティが高く接触が少ないという共通の特徴を持つため、二つの業界は相互に補完し、重なりあう関係にあります。

 

したがって、フィンテックの発展はeコマース市場の成長を促進すると考えられます。フィンテックを活用したeコマース・プラットフォーム、フィンテックのスケーラビリティ、モバイルウォレットやデジタル決済システムの拡大などの分野で有望な事業機会が生まれる可能性があるため、投資家は二つの業界が密接に関係していることを念頭に置くことが重要です。

 

2022年、各ステークホルダーはeコマースがもたらす利益を拡大させるための取り組みを強化することが予想されます。また、デジタル時代を迎えるベトナムではeコマース産業がさらに成長・成熟し、今後数年にわたって同国の発展を牽引することが期待されます。

 

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