フィリピンにおいて、物流は最も必要性の高い産業の一つです。7,107の島々からなる同国では、商品やサービスの流通が、日常生活の中で重要な役割を果たしています。この業界は国の総GDPの4%を占めており、2019年には130億米ドルと評価されています。商業活動の増加と国際貿易の隆盛により、この分野は投資や開発、特にデジタル領域において非常に魅力的なものとなっています。
YCP Solidianceとフィリピン・サプライチェーン管理協会(SCMAP)によるホワイトペーパー「フィリピンの物流業界におけるデジタル化」では、物流分野の成長にはデジタル技術への投資が不可欠であるとしています。電子商取引の浸透や、情報の透明性、より速い物流への消費者ニーズの強まりを背景に、フィリピンの伝統的な企業が未だ実現できていない、より効率的で接続性のある物流の仕組みが求められています。
なぜデジタル化を進めるのか
この分野では伝統的な物流業者が依然として支配的ですが、新型コロナウイルスの流行とフィリピン人のデジタル技術に対する認識の高まりによって「ニューノーマル」への移行が進み、電子商取引が主流となってきています。2018年、フィリピンにおける電子商取引の収益は8億4,000万米ドルに達し、今後数年間でさらに成長することが見込まれています。デジタル上での商品やサービス取引を必要とするフィリピン人が増えており、国内最大の電子商取引のプレーヤーであるLazadaとShopeeには、毎月計3,900万人のアクセスがあります。
電子商取引は買い物の環境を変えましたが、同時に複雑な物流上の課題ももたらしました。例えば、消費者は物流のほぼすべての段階(注文の追跡など)で完全な透明性と効率性を求めていますが、これはデジタル化された手段でしか実現できません。実際、国内の小売企業の70%が、配送速度を物流における主要な課題として挙げています。
LalamoveやNinja Vanのような新しいプレーヤーは従来の物流プロセスのギャップを埋めることを目指していますが、彼らだけでなく伝統的な企業も含めて、業界全体でデジタル化を取り入れていく必要があります。
デジタル戦略の策定
デジタル化は3つの重要なステップを通じて、様々な企業や組織に、長年のオペレーション上の問題を解決し、効率を向上させる大きなチャンスをもたらします。
· 調達:デジタルの専門家を雇い、必要なソフトウェアやハードウェアを購入します。この方法は、資金力のある政府機関や、管理・運営の独立性を維持したい民間企業に適しています。
· 提携:デジタル化を迅速に進める手段を持つ他の企業との投資やパートナーシップを通じて、物流機能を獲得することもできます。
· 参加:自社でデジタルサービスを調達・入手することが難しいプレーヤーにとっては、既存の他社デジタルプラットフォームを活用してプロセスやサービスを統合することが最適解となるでしょう。
長期的な成長
「ニューノーマル」への移行と産業・商業の急速な成長に伴い、物流業界はデジタル化を迅速に実現する必要に迫られています。デジタルソリューションは、長年の手作業による非効率性に対して、最も経済的で効果的な解決策となります。
デジタル技術を適切に導入するためには、物流企業の目的を明確にし、デジタル化への正しい道筋を見つけることが重要です。これらの重要な戦略の詳細や、フィリピンの物流業界の概要については、こちらのレポートをダウンロードしてご覧ください。