昨今の情勢下において、企業やプロフェッショナルは、産業および世界の最新動向に精通している必要があります。そうしたトレンドの一つが第四次産業革命(4IR)、すなわちデジタル革命です。4IRの時代はテクノロジーの発展が加速していることが特徴で、モノのインターネット(IoT)、人工知能(AI)、ビッグデータなど、テクノロジーによってソリューションが生まれ、普及してきました。

そうしたスマートソリューションがさまざまな産業で導入されたことにより、世界中でビジネスのあり方が根本から変革されました。当然、東南アジアも例外ではありません。

ASEANで4IRを実現するための要因

こうした情勢を受けて、東南アジア諸国連合(ASEAN)は、YCP Solidianceのプロフェッショナルを含む複数のパートナーと協力し、第四次産業革命に向けた統合戦略を策定しました。オンラインでのビジネスに対するステークホルダーの準備を支援するため、4IRに向けた統合戦略には、4IRを実現するための要因など、デジタルトランスフォーメーションのさまざまな重要ポイントが含まれています。この戦略の中では、ASEANで4IRを実現する要因として、以下のものを挙げています。

  • デジタルインフラ:デジタル技術の導入準備には、いくつかの段階があります。そのため、デジタルインフラとその普及・アクセシビリティは、ASEANで4IRを実現するための基盤となります。
  • 人材育成:4IRのテクノロジー活用に向けて、ASEANでは、官民の双方から人材育成と能力開発に投資する必要があります。ASEANが4IRの加速を適切に活用するためには、地域内の人材育成に注力することが重要です。 
  • 制度とガバナンス:民間企業は各社のペースで4IRを進められますが、ASEAN各国の政府は国民への責任を負うため、4IRによって生じる可能性のある問題に対して、国内制度を整える必要があります。 
  • 資金調達:4IRの推進に向けた継続的な投資は重要であり、相互利益をもたらす協力的なパートナーシップを伴うことが予想されます。こうした投資はASEAN全体の4IR促進に繋がります。 
  • 協力・連携:ASEAN全体で4IRを実現するためには、官民を問わずさまざまなプレイヤー間で適切なコミュニケーションを取る必要があります。プレイヤー間の連携は、4IR推進に向けた適切な仕組みや制度を実施するためにも重要です。 
  • 効果的なモニタリング:ASEANの目標に対する進捗を適切にモニタリングすることは、ステークホルダーが改善の余地がある分野を特定する上で不可欠です。徹底したトラッキングによって、4IRを段階的に推進することができます。

ASEANにおける4IR戦略上の注力分野
ステークホルダーが第四次産業革命において成功を収めるためには、ASEANで優先的に取り組むべき分野を知る必要があります。4IRとその恩恵を十分に活用するために、統合戦略では以下の注力分野を指定しています。 

  • テクノロジーガバナンスとサイバーセキュリティ:4IRではデジタル技術を活用するため、各国政府は最新テクノロジーを取り入れていく必要があります。特に重要なのは、(1)電子政府による適切なガバナンス、(2)テクノロジーガバナンス、(3)データガバナンス、(4)サイバー犯罪、サイバーセキュリティに関する法整備および取り組み、の4点です。これらはすべて、4IRに対する懸念を解消し、リスクや損害の最小化に役立ちます。 
  • デジタルエコノミー:ASEANのデジタルエコノミーは、インターネットの普及などにより急速に成長しており、特に成長著しいIT業界にとって、絶好のビジネスチャンスとなっています。デジタルエコノミーは今後も、4IRを推進する企業に対して、幅広い産業で新たな選択肢や機会をもたらし、経済の多角化を促進することが期待されています。 
  • 社会のデジタルトランスフォーメーション:社会がデジタル時代へと全面的に移行するためには、4IR関連の発展を社会の社会的、文化的、組織的側面にスマートに統合することが必要です。ASEAN各国の政府・企業のアプローチは社会文化的な要因によって異なりますが、今回の統合戦略によって、各国で社会のデジタルトランスフォーメーションと4IRが加速し、調和の取れた発展が促されます。 

ASEANは、包括的かつ協調的な枠組みの構築により、各国が4IRを十分に活用できる態勢を整えました。デジタルトランスフォーメーションの推進は、当初は困難を伴う可能性もありますが、ASEAN統合戦略等の取り組みによって、将来的には東南アジア全体が発展する見込みです。 

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