ベトナムは、新型コロナウイルスの流行初期には封じ込めに成功したものの、現在は感染者数が危機的に急増しています。「Worldometer」のデータによると、ベトナムでは、7月だけで128,110人が感染し、単日で9,256件の新規感染者数を記録しました。

感染者数の増加を受けて、ベトナム政府は、ワクチン1億5000万回分の調達に11億米ドルを充てるなど、国民を守るための対策に取り組んでいます。さらに、遠隔医療による集団感染の防止にも注力しています。


ヘルスケアのデジタル化

YCP Solidianceのホワイトペーパー「今後の展望:デジタル化によるベトナムのヘルスケアシステムの変化」によると、ベトナムのステークホルダー(国民や機関)は、デジタル技術や科学技術に基づくヘルスケア・ソリューションの出現に期待しています。

この流れを受けて、同国は独自のワクチン接種用オンライン・プラットフォームを立ち上げ、政府がワクチン接種の管理と追跡をより適切に行えるようにしました。「Vietnam Net Global」の報道によると、このオンライン・プラットフォームは5段階のステップで構成されており、最初のステップではワクチン接種の予約をオンラインで行います。その後、医療機関側で予約の確認が済むと、利用者はワクチン接種のスケジュールや状況、接種証明書が表示されるポータルにアクセスできるようになります。デジタル化によって、ワクチン接種のプロセス全体が改善されるだけでなく、効率化が進むことで、接種率をこれまでの2.3%からさらに向上させていくことが可能になります。

また、医療機関へ行くことができない患者のために、全国の医療関係者が、オンラインサービス拡大のためのネットワーク構築に取り組んでいます。「Vn Express」によると、このネットワークは、新型コロナウイルスのスクリーニング検査、リスク評価、カウンセリングサービスを提供します。この事業は、パンデミックの中でもベトナムのヘルスケアのデジタル化が実現可能であることを実証しています。

デジタル技術の未来

ベトナムではヘルスケア分野のデジタル化が徐々に進んでいますが、デジタル化でメリットを得ている例は、東南アジアの他の国々でも見られます。

インドネシア政府は、ベトナムと同様に、民間の遠隔医療ベンチャー企業を活用して、軽症の新型コロナウイルス感染者に無料でサービスを提供しています。

また、YCP Solidianceのホワイトペーパー「タイにおけるスマートホスピタルの未来」によると、タイのサムットプラカーン病院でも、既存業務のインフラやプロセスにデジタルソリューションを取り入れることに成功しています。この病院は、デジタル化によって、他施設との患者のデータの共有、業務量の削減、通院が困難な地域への遠隔医療の導入などを実現しました。

ベトナムとその近隣諸国によるヘルスケア分野のデジタル化は、まだ初期段階であるものの、今後の発展が予測されます。新型コロナウイルスがもたらした成長とはいえ、デジタル化へ舵を切ったことは、短期的にも長期的にも、ベトナムのヘルスケアの発展に貢献すると考えられます。

Numbers

メールアドレスを登録すると、急速に変化するアジア市場の最新情報を受け取ることができます。