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過去10年間、インドネシアにおいて、石油・ガス産業はエネルギー供給の約33.4%を占める、最も重要なエネルギー供給源でした。しかし現在、この産業は国内総生産(GDP)に占める割合が2.6%減少し、他の産業が4.2%成長しています。
風力エネルギーや太陽光エネルギーといった再生可能エネルギー源に対する需要増加が、石油・ガス産業の低迷を加速させています。専門家は、再生可能エネルギー源に対する需要は今後も増加し、最終的には石油・ガスに代わって主要なエネルギー供給源になると予測しています。過去10年間、環境に配慮したエネルギー源の利用は年平均成長率(CAGR)4.5%で増加しており、インドネシアにおける持続可能性向上の可能性を示唆しています。
エネルギー転換戦略に対する関心が高まっている一方で、依然として石油・ガスの生産は化石燃料によるCO₂排出を大幅に増加させています。2021年、エネルギー省は、インドネシアの石油・ガス企業が1日平均658,540バレル(BOPD)の石油を生産したと報告しました。この分野では、化石燃料による二酸化炭素排出量が13.2%増加し、約3億3,050万トンを記録しています。
この驚異的な数字は、川上・川中・川下の各工程で二酸化炭素排出量を削減するためのネットゼロ・エミッションに取り組む必要があることを示しています。
ネットゼロ・エミッション達成に向けた課題
ネットゼロ・エミッションに対する需要が高まっている一方で、現地の石油・ガス企業は、再生可能エネルギーへの移行に際して下記の課題に直面しています。
- 排出削減に伴う高額な投資コスト:炭素取引には多額の先行投資が必要なため、石油・ガス企業はこうした取り組みにリソースを割くことを躊躇する傾向があります。企業は、炭素取引による財務的リターンが、従来の事業活動に比べて不確実または不十分であると考える場合が多くあります。
- 教育と規制に関する課題:石油・ガス企業とその従業員、ステークホルダーの間では、リソースの準備が不足しています。また、炭素取引とそのメリットに関する知識も不足しており、これが導入の大きな障壁となっています。炭素取引の重要性と環境に与える影響について関係者を教育することは、導入体制を整える上で極めて重要です。
- ネットゼロ・エミッションへの移行を促進するインセンティブの不足と規制の不安定さ:現行の規制は、企業にエネルギー転換を促すインセンティブではなく、転換後の企業や組織を取り締まることに主眼を置く傾向があります。また、規制の不安定さも、投資を抑制し、炭素取引への参加に伴うリスクを増大させる可能性があります。
インドネシアにおける石油・ガス産業の動向とネットゼロ・エミッション経済への移行について、ぜひ、ホワイトペーパーを無料ダウンロードの上ご確認ください。
Author
Septian Waluyan
インドネシアを拠点とするパートナー。消費財、小売及び製造業界を中心にインドネシアのコンサルティング業界で豊富な経験を持つ。市場参入戦略、M&A、コマーシャルデューデリジェンス、マーケティング戦略、チャネルマネジメントなど多種多様なプロジェクトに携わる。