アジア開発銀行(ADB)による東南アジアのグリーンリカバリーに関するレポートでは、東南アジア諸国がグリーンリカバリーの促進に努めることで、2030年までに3,010万人の雇用を創出できる可能性があるとされています。また、同レポートでは、ASEAN諸国がグリーンリカバリー戦略に積極的に取り組んだ場合、約1,720億ドルの投資機会を創出できる可能性もあるとしています。
したがって、今後数年間にわたり、持続可能性とその関連プロセスに重点を置くことが、環境面でのレジリエンスだけでなく、有望なビジネスチャンスに繋がることが期待できます。
東南アジアのグリーンリカバリー
グリーンリカバリーを持続可能な開発と同義と捉えると、持続可能で環境に優しい方法へのシフトがあらゆる分野で実践されていることが理解しやすくなります。グリーンリカバリーには、化石燃料への依存度の低減、再生可能エネルギーを利用した民間プロジェクトの立ち上げ、持続可能なインフラや交通システムの開発など、幅広い産業が関わっています。グリーンリカバリーの影響が多くのビジネスや産業に及び、さまざまなレベルのプレイヤーが関与する可能性から、投資機会もまた豊富に生じることが期待できます。
最近では、観光産業にも同様に投資機会が生まれています。例えば、シンガポールのレーシングカートのベンチャー企業であるHyperDriveは、東南アジア初のゼロ・エミッション車による電動サーキットで注目されています。また、タイでは、バンコク中心部にベンチャキティ森林公園を整備し、国内旅行者のグリーンツーリズムを促進しようとしています。
高まる注目
企業がどのように持続可能性を重視し、推進、実践していくのかという点もまた、グリーンリカバリーの重要な側面です。YCP Solidianceはホワイトペーパー「東南アジアにおけるパンデミック後のビジネス展望」の中で、企業が持続可能性を高めるためには以下のポイントを考慮する必要があるとしています。
- 部門間の協力 – 持続可能な社会の実現に向けて大きな成果を上げるためには、企業同士が協力し合う必要があります。国際連合が提唱する「持続可能な開発のための2030アジェンダ」など、協力体制を構築するための枠組みがすでに構築されています。
- 天然資源への配慮 – 東南アジアが急速に発展する中で、企業はその発展のために使われる天然資源に配慮し、慎重に管理する必要があります。
- 社会全体への貢献 – 持続可能な社会への移行には、経済と社会の両方に対する影響を意識することが重要です。また、こうした動きを理解することは、グリーンコンシューマリズムの推進にも役立ちます。
グリーンリカバリーの進展速度はいくつかの要因に左右されますが、今後東南アジアで活発化することは間違いないと思われます。特に、グリーンリカバリーと持続可能な開発は、ASEAN各国の政府と企業の双方にとって重要な課題となっており、投資家にとって重要な機会となっています。
東南アジアの各企業がグリーンリカバリーを推進している方法については、以下のレポートをご確認ください。また、こちらから当社のニュースレターもぜひご購読ください。