2022年8月、タイで農業関連のソリューションを提供するチアタイ社は、農業のスマート化促進を目的とした新事業の立ち上げを発表しました。この新事業「FarmInno」は、最先端の農業技術とスマートソリューションによって、タイの農業全体の成長促進を目指します。
今後、タイの農業は変革期を迎え、チアタイのような企業が中心となって、「農業3.0」や、ロボットや情報通信等の先端技術を活用した「スマート農業」にシフトしていくことが予想されます。
スマート農業の課題と対策
FFTC農業政策プラットフォーム(FFTC-AP)は、2020年に行ったタイのスマート農業に関する調査データの中で、スマート農業の今後の成長について、農業従事者の高齢化、労働力不足、スマート技術の利用しづらさ、資金や資本の不足、国のスマート技術政策の不十分さなどの課題があると指摘しました。
タイのスマート農業市場に参入する企業にとって、これらの課題は不利に働く可能性がありますが、対策を取ることは可能です。具体的には、スマート農業を小さな規模から取り入れることで、コストの削減と損失の軽減を図ることができます。また、小規模な農家と提携することで、時間をかけて適切なリスク評価を行い、提携基準をより慎重に検討することもできます。急激な導入はリスクを伴うので、小さな規模から始めて徐々に拡大することで、段階的に成長していくことが重要です。
タイには、すでに小規模なスマート農業の成功事例があります。たとえば、エビの養殖業者は、養殖場所を屋外から屋内の水槽へ移行しています。このように、スマートテクノロジーを活用することで、気候変動の影響を回避するための環境を整えることができます。導入当初はコストがかかりますが、作業効率の向上と環境の改善によって、長期的には利益を上げることが期待できます。
スマート農業の未来
タイではスマート農業の価値が官民双方から認められているため、今後、国内外を問わずさまざまなパートナーシップが実現する見込みです。政府機関などの公的セクターには、税制優遇措置や試験的プロジェクトなどの取り組みを通じて、提携を促進することが期待されます。
他方で、すでに農業に携わっている企業についても、今後は競争力を高めるためにスマートソリューションの導入やパートナーシップを積極的に検討することが予想されます。これにより、スマート農業分野への投資はさらに加速すると考えられます。
タイのスマート農業はまだ初期段階で、いくつかの課題はあるものの、収益性の高い市場となる可能性が示唆されています。企業は今後、スマート農業に関するビジネスチャンスの積極的な活用を模索する必要があると言えるでしょう。
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