ベトナムでは、社会経済や人口の変化が医療制度の進化を促しています。ベトナムの平均寿命は73.5歳、都市化率は3%、インターネットの普及率は全人口の3分の2に達しており、高齢化と都市化が進む中で、より質の高い医療が求められています。

YCP Solidianceのホワイトペーパー「今後の展望:デジタル化によるベトナムの医療制度の変化について」では、公立・私立病院、製薬会社、医療機器プロバイダー、新興企業などの様々なステークホルダーが、デジタル技術を活用して、よりスマートで効率的なヘルスケアソリューションを構築している様子をご紹介しています。

公立病院と私立病院

他のASEAN諸国と同様に、デジタル技術と自動化されたプロセスによって「スマート」な病院を構築することは、高齢化に伴って複雑化する医療問題に対するベトナムの病院の負担軽減に役立ちます。公立病院・私立病院ともにデジタルサイネージや受付端末の設置を開始し、患者が病院でより効率的かつ合理的に過ごせるよう、電子決済の導入を進めています。病院のスマート化は保険省のCircular 54によって政府から支援されており、このCircular 54では、「スマート」な病院に必要な情報技術の7段階の進歩についてまとめられています。

製薬会社

製薬会社は法律によって顧客との関係を制限されていますが、良質な健康情報のニーズに応えるために、教育プラットフォームを介したデジタルソリューションを活用しています。心血管疾患、糖尿病、慢性疾患と診断される人が増えているため、一般向けの情報提供は非常に重要です。製薬会社は、ウェブサイトやモバイルアプリなどのデジタル技術を活用したキャンペーンを展開することで、消費者が親しみやすくわかりやすい形で健康や福祉についての科学的知識を深められるように努めています。

医療機器メーカー

ベトナムは、東南アジアで最も急速に成長している医療機器市場の一つです。より質の高い医療を提供するために主要な公立・私立病院の医療機器を徐々にアップグレードしていることで、医療機器への支出は2017年から2022年にかけて年率9.6%で増加することが予測されています。すでに、放射線科、PACS(医療用画像管理システム)、テクニカルサポート、MRIやECGの処置の分野で、デジタル化の取り組みが行われています。

医療関連のスタートアップ企業

ベトナムにおける医療関連のスタートアップ企業の状況は、他の産業に比べて比較的小規模で、2019年の投資額は700万米ドルと、全体のわずか2%に過ぎません。まだ非常に新しい分野ですが、多くの投資家やステークホルダーがその価値を見出しているため、3つの主要な目的がその成長を後押ししています。

1.       オンライン予約アプリによって、在宅や遠隔で医療サービスを利用しやすくすること

2.       患者がレビューを読むことができるデジタルプラットフォームや、患者が相談や質問をし、より合理的な治療を選択するための新しいコミュニケーションチャネルを提供するヘルスケアアプリを通じて、医師と患者の関係を変革すること

3.       健康状況やフィットネスの進捗を確認できるモバイルアプリを通じて、病気を予防する健康的なライフスタイルを奨励すること

医療制度のデジタル化は、ベトナムの健康のあり方を大きく変えようとしています。テクノロジーを活用することで、患者の力になり、コストを削減し、システムの効率と有効性を高めることができます。ベトナムの現在の社会経済的、人口統計学的状況と、新技術の導入に対する業界全体の熱意によって、ヘルスケア分野は、市場への参入やステークホルダーとの永続的なパートナーシップの構築を目指す企業から非常に有望視されています。

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