ベトナムでは、乗用車市場が力強い成長を遂げているにもかかわらず、依然として国内の自動車市場に対しては、高い税金と手数料が課されています。この政策の目的は、国内の乗用車産業を保護し、汚染や渋滞の問題を軽減することにあります。
乗用車を購入する際には、ベトナムの消費者は3種類の税金と5種類の異なる手数料を支払う必要があり、タイやインドネシアなどの近隣諸国と比較すると、ベトナムの乗用車の価格は高くなります。輸入関税が引き下げられ、渋滞が悪化するなか、収入を確保し、路上の車両数を制限する手段として、さらなる税金や手数料の導入が検討される可能性があります。
所有者は、車両の利用のために約10種類の手数料を支払う必要があります。これには、所有権登録料(10~15%)、ナンバープレート発行費、自動車登録料(24万~56万ベトナムドン)、技術安全保証確認書発行費(5万~10万ベトナムドン)、燃料消費検査費、排出検査費、エネルギー·ラベリング認証料などが含まれます。
2016年7月から、エンジンが2000cc未満の車両に対して特別消費税が適用され、税率は45%から40%へと引き下げられました。一方で、大きなエンジン排気量への対処として、税金が55~150%へと引き上げられ、大型車が高コストとなっています。消費税が低いことで、1000~2000ccのミドルクラスで手頃な価格の小型車の販売が促進されることになります。この税改正は、小型乗用車の利用促進を目的としています。これは、エンジン容量が小さい乗用車は燃料の消費量が少なく、CO2排出量への影響を軽減することが可能となるためです。
ASEAN FTAによる減税
ASEAN加盟国間で締結したFTAに基づき、タイやインドネシアを含むASEAN諸国からの輸入品に対しては、輸入関税が課されることはありません。一方、ヨーロッパ、米国、インド、日本が対象の非ASEAN諸国から輸入品には、引き続き関税が課されます。さらに、ベトナムでは様々な種類の税金と手数料が課されるために、世界で最も自動車価格が高い国の1つと考えられています。税金と手数料は、合計価格の50%以上を占めると推定されます。
ASEANからの輸入関税はゼロに引き下げられましたが、消費者が期待する程に販売価格は低下していません。自動車の所有者は、別の種類の税金である資産税の支払いを余儀なくされます。財務省は、約15億ベトナムドンの価格の自動車に対して、0.3%または0.4%の課税を提案しています。
急速に成長する自動車市場
ベトナム自動車メーカー協会によると、2019年上半期のベトナムの自動車総販売台数は前年比21%増の15万4273台でした。乗用車の販売台数は34.6%%増の11万3155台でしたが、トラックやバスを含む商用車は1.5%減の3万8071台、特殊車両は32%減の3047台となりました。ベトナム市場では6月だけで約2万7520台の自動車が販売されており、前月から0.1%、前年同月から19%増加しています。
同国は、増加する需要に対応するために、2019年1月から6月にかけて、完成車および組立部品の輸入に約37億米ドルを費やしましたが、前年比では7.9%の増加となりました。具体的には、産業貿易省によると、ベトナムは、17億米ドル以上に及ぶ7万7795台の完成車両を輸入しましたが、これは数量と金額ベースでそれぞれ532.4%と424.8%の増加でした。