山東省の主要都市である青島は、「世界最速のリニアモーターカー」を公開しました。CNNの報道によると、このリニアモーターカーは最高時速600kmに達すると言われています。電磁力による「磁気浮上」を利用しているため、線路の上に浮かんでいるように見えるのが特徴です。 この試作が成功すれば、上海で運行する磁気浮上式鉄道と共に、2035年までに20万kmの鉄道を敷設するという中国の目標を達成するための技術革新となるでしょう。 

国土面積の広い中国では、高速鉄道での移動は必須となっています。高速移動により、都市部や工業地帯と地方を繋ぐことができ、移動にかかる時間とコストを削減できます。中国国内では、鉄道路線の計画・開発が進んでいますが、科学技術の進歩により、「自動化」という新たな進歩が生まれようとしています。

自動化への進展

中国の高速鉄道の歴史は古く、1990年代にまで遡ります。2008年に中国初の高速鉄道である北京-天津線が開通したことで、中国の高速鉄道は注目を集めるようになりました。鉄道省の定義によると、中国における高速鉄道とは、時速200km以上の在来線電車(EMU)とされています。

 2020年末の時点で、中国の高速鉄道地図は全長27,000kmを超え、国内のほぼ全ての省を結ぶ、世界で最も長く、最も活気のある鉄道網となっています。Global Timesによると、国内最大級の鉄道路線である北京-上海線は、開業から10年間で乗車数13億5,000万人に達しました。

 中国は現在、鉄道技術の自動化に力を入れています。2022年の冬季オリンピックを前に、北京とスキー競技が行われる張家口を結ぶ、全長174km、最高時速350kmの完全自動運転のスマート高速鉄道の運行を開始しました。

 2021年初頭には、河南省の鄭州新鄭国際空港と許昌を結ぶ新しい地下鉄が導入され、自動化グレード(GoA)レベル4を達成しました。

未来を見据えた展望

中国のHSRシステムを進化させるには、技術の進歩が重要です。特にロボット工学は、国内の経済全体を牽引しており、今後数年間は鉄道システムの大きな成長要因となる可能性があります。

当社のホワイトペーパー「新型コロナウイルスが中国のロボット産業に与えた影響」では、新型コロナウイルスによる影響が続く中、産業用およびサービス用ロボットの重要性が示されています。全てのビジネスにおいて、デジタル化が新たな規範となりつつあります。中国国内の鉄道技術が強化されるにつれ、AIや機械学習などの技術革新もまた、今後数年間にわたり高速鉄道開発のスタンダードになっていくと考えられます。その一例が顔認証システムです。今後オリンピックの自動運転車両に顔認証システムの導入が予定されており、それによる安心と安全の確保が期待されています。高速鉄道分野の投資家やビジネスパートナーは、ロボット・AI分野を優先する方向に発想を転換する必要があります。

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